
生き物による毒の手に入れ方には2つあ
って、①まず1つ目は素直に自分で作る
タイプ。カラダの中で毒を作る。この自
作の名人が植物なんです。むしろ植物の
ほうが本気で毒を作っている。

植物は毒を作る名人。植物には足がなく、逃げることができないから本気で毒を作る。
何でかと言うと、動物は敵が来たら逃げ
られる。足がありますからねえ。でも植
物には根が生えていて、その場から一歩
も動けない。逃げも隠れもできないから
、その場で敵を撃退するしかない。だか
ら植物は他のヤツラの不得意とする化学
物質での防御に全力を注いだ。何たって
毒作りの名人ですからねえ。動けない代
わりに毒で武装したんですよ。

植物は化学物質で防御に全力を注いだ。動けない代わりに毒で武装した。
その種類は凄まじい。植物が作る毒はわ
かっているだけでも、十万種を超える。
動物とは桁が違う。逃げられない分だけ
必死だ。作り方にも工夫があって、普段
は無毒のまま持っており、食べられた瞬
間に毒に変わるヤツ。強い毒をずっとカ
ラダに抱えていたら、自分のカラダまで
傷つきますからね。

だから毒の元とそれを毒に変える仕掛け
を別々の場所にしまっておく。普段は安
全に持っておいて、咬まれてカラダが傷
つくと、2つが混ざり合って初めて毒が
生まれる。青い梅がまさにコレ。かじら
れた瞬間に初めて毒に変わる。

青い梅を食べたら、体内でシアン化水素(青酸)に変わる。
日本の自作の毒と言えば、トリカブトだ
。植物の中では最強クラス。花はキレイ
なのにね。彼岸花みたいに身近な花が毒
を持っていることも多い。キレイな花ほ
どしっかり毒で武装しているのだ。

トリカブトは毒成分・アルカロイドのアコニチンやメサコチンという植物界の最大の毒物で細胞のナトリウムチャンネルに結合し、細胞活動を停止させ、麻痺させる。

彼岸花は強毒性のある「リコリン」という物質が含まれており、人間が誤食すると、死に至る場合がある。この毒性がモグラやネズミを田畑に寄せ付けないように、先人たちがあぜ道に彼岸花を植えた。
②2つ目の毒の手に入れ方は、自分で作
らずによそから借りるタイプ。その代表
がヤドクガエルだ。世界最強の毒を持つ
のにコイツ、自分では一斉毒を作れない
。飼育下でフツーのエサだけを与えて育
てると、まったく無毒になる。毒を作る
力がどこにもない。

ヤドクガエルは自分では毒を作らず、よそから借りている。
どこからその毒が来るかと言うと、食べ
物から来る。野生で食べているアリやダ
ニ、あの小さな虫が毒を持っていて、そ
れを食ってカラダにため込んでいる。虫
の毒をそのまま自分の毒にしている。借
り物の方は、よそで出来上がった毒を食
べて、自分のカラダに移し替えているの
だ。

ヤドクガエルは毒を持っているアリやダニを食べて、それをカラダに溜め込んでいる。
一から作る仕組みを進化させるのは大変
だが、毒を持つ生物を食べれば、その手
間なしで毒が手に入る。
チョウにも名人がいる。オオカバマダラ
は幼虫の時に毒のある植物を食べて、そ
の毒を大人になるまでカラダに溜め続け
る。食事がそのまま武器になる。

オオカバマダラは幼虫の時に、毒のある植物を食べて、その毒を大人になるまでカラダにため込んでいる。

オオカバマダラ
「毒をカラダに溜めこんで平気なの?」
そこが上手くできている。毒を借りる生
き物は、その毒が自分にだけは効かない
ようにカラダを作り変えている。毒を溜
める仕組みと耐える仕組みがセット。両
方そろって、借り物という戦略が成り立
つ。

あのフグも自分では毒を作らないんです
よ。フグの毒のホントの作り手は海の中
にいる細菌。その細菌を小さな生き物が
取り込み、それを別の生き物が食べ、と
食物連鎖を登って、最後にフグに溜まっ
ていく。

フグも自分では毒を作らない。フグの毒のホントの作り手は海の中にいる細菌。
フグの毒は元をたどれば細菌だ。証拠も
はっきりしている。毒のないエサだけを
フグに与えると、フグは無毒になる。逆
に、毒を持つエサを与えると、ちゃんと
毒を持つようになる。エサしだいで毒が
出たり、消えたり、ヤドクガエルと同じ
パターンだ。

おしまい