
ラスベガスにあるホテル「ザ・ベネチアン」
【続きです】
1999年にラスベガスに「ザ・ベネチアン
」というホテルが出来ました。
建物の中に運河があって、ゴンドラが浮
かんでいる。天井には空が描いてあって
、その空はいつも夕くらいの明るさで雨
は降らない。

「ザ・ベネチアン」というホテルの中にあるベネチア風の運河。
では本物のベネチアには何があるのか?
夏の運河の匂い、人ゴミ、修理中の足場
、定休日、閉まっている店、暑くて狭い
部屋のホテル。ニセモノは本物から不便
を全部引いて、いいとこだけを残してあ
る。要するに濃縮版だ。カルピスの原液
だと思えばいい。濃縮版の方が記憶に残
りやすい。

本物のベネチアには夏の運河の匂い、人ゴミ、修理中の足場、定休日、閉まっている店などが詰まっている。
観光の名所の食事もそうだ。日本で食べ
た方が美味しいというのは、日本の店が
日本人向けに味を合わせているという話
を聞いた。イタリアの店には美味しい店
とそうでない店、閉まっている店が並ん
でいる。そのうちの1軒を自分で引くのが
本物の体験だ。はずれを引かないように
なっているのが日本で流行る店。

ニセモノは本物から不便を全部引いて、いいとこだけ残してある濃縮版。いわばカルピスの原液だ。
ベネチアの歴史地区に住んでいる人は約
5万人。そこへ来る観光客は3000万人。
住んでいる人の600倍、毎年通り過ぎて
いる。空いた建物はホテルとお土産屋に
なる。家賃が観光価格になるので、フツ
ーに暮らすのが難しくなる。当然、住民
は出て行く。

ベネチア歴史地区。余計なものがいっぱい詰まっている。臭い、汚い、生活音が聞こえる。これが本物の街ベネチアの証拠。
街に残るのは「観光客が観たいベネチア」
だ。そして2024年の春から、日帰り観光
客には5ユーロの入場料がかかるようにな
った。ゲートがあって、おカネを払って
入る街ベネチア。もうテーマパークだ。
街の人が減って、観光客が増えていく。
で、結論はこうだ。

本物のベネチアもゲートがあって、おカネを払って入る街になってしまった。もうテーマパークそっくり。どっちが本家本元かわからない。
「余計なものを失くしたものがニセモノ
余計なものが付いているのが本物」
おしまい