今日はお盆が近いということで、チョット怖いお話デス。
深沢七郎の書いた「みちのくの人形たち」という小説があります。
ある家に行ったら、「びょうぶ」が逆さに立っているのです。
「逆さびょうぶ」は、死者のそばに立てるもの。
あの家では何か不幸があったのです。
産婆さんがいました。
産婆さんの家の祖先は、その村で代々産婆さんをしていました。
産婆ですから、もちろん出産を手伝うわけですが、同時に間引きも手伝うことも多かったのです。
生まれたばかりの嬰児(えいじ)が産声をあげる前に産湯のタライの中に入れて、呼吸を止めてしまうのデス。
ビョウブは、生まれてくる子を生かしたいか間引きしたいかを産婆に伝えるサインに使われていたのです。
逆さなら間引きしたというイミ。
その部屋に仏壇がありました。
その中には先祖のお婆さんをモデルにした仏像が飾ってあります。
そしてその仏像には、両腕がありませんでした。
お婆さんは家業の産婆をやっていました。
ということは、間引きもやっていたワケです。
年をとってから、お婆さんはそれまでの罪を重ねたその腕を切り落としたというのです。
自分ではできないから、身内にやってもらったそうです。
お婆さんはもちろんのこと、その子孫もいまだにその罪深さを背負っているということでした。
「こけし」には腕がありません。
「こけし」はもともと「子消し」から来ているという伝説があります。
まぁ、「みちのくの人形たち」って、こんなストーリー。
なんだか背中が寒くなってきました。
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