2018年 12月 の投稿一覧

歯周病治療は、雪だるまを転がし続けるように。

 

歯周病治療ってのは、ホントに時間の
かかる治療だなぁとつくづく思う。

患者さんも根気がいるけど、Dr.も根気が
いります。

ムシ歯みたいに削って詰めて、「あとは
歯ブラシ頑張ってね。じゃあね。」という
わけにはまいりません。

歯周病治療を陸上に例えるとすると、
こうなる。

まず一歩一歩のストライドに集中する。
しかしそうしながら、同時になるべく
長いレンジでものを考え、なるべく遠く
の景色を見るように心がける。

まぁ、長距離ランナーのような心構え。

続けるためには根性を入れすぎず、情熱を
燃やしすぎずにボチボチというメンタルを
維持する。

まぁ、雪だるまを転がし続けることを
忘れないということデス。

歯周病治療は、ゴールをした後、つまり
治療が終わった後がホントのスタート
なのです。メンテナンスという名の。

 

ただの交換が、まわりを豊かにする?


       物々交換

 

歯科治療は、窓口料金をいただくかわりに
治療やサービスを提供します。
まぁ、いわば交換です。

パチンコ屋にいくと、商品と交換して
くれます。
というか、その商品がまた何かと交換
され・・・。

まぁそれはいいとして、むかし、山の民と
海の民がいました。

彼らはお互い収穫物を交換していました。

お互い収穫物が余ったから交換したのでは
なくて、交換したかったからたくさん収穫
したらしいのです。

交換することが嬉しかったので、多めに
作るようになった。

そして、そこで分業が生まれ、階級が
生まれ、とうとう国家まで生まれたという
説があります。

マルクスも分析しているけど、おカネは
それ自体何の価値もない商品。

唯一の価値は、これを持ってゆけば何かと
交換してもらえるという点だけ。

交換することだけに使える商品が、おカネ。

交換すれば財産やサービスがどんどん動き
まわります。

だからどんどん周りを巻き込んで、みんな
豊かになってゆく。

ピンポンやテニスだって、ボールが行って
帰ってくるだけ。

これが相手が機械だったら何もおもしろく
ありません。

一球返せば相手に感情が生まれ、嬉しく
なったり悔しくなったりして、道具をそろ
えたり本を買ったり、スクールに行ったり
試合に出たりするようになります。

ただのボールの交換が周りを巻き込んで
豊かにするようなのデス。

「よろこばせごっこ」

 

やなせたかしさんと言ったら、アンパン
マンの生みの親。

彼は、「人は何が一番楽しいんだろう。
何が嬉しいんだろう」とずっと考えて
いました。

で、こう考えました。

母親が一生けんめい料理を作るのは、
「おいしい」と喜んで食べる家族の顔を
見るのが嬉しいから。

父親が汗をかいて仕事をするのは、家族の
喜びを支えるため。

美しく生まれた人は、その美しさで人を
喜ばせることができる。

学問が得意な人は学問で、絵が上手な人
は絵で、歌が上手な人は歌で、人は人が
喜んで笑う声を聞くのが一番うれしい。

自分が描いたアンパンマンのような漫画
を読んで子どもたちが喜んでくれる、その
様子を見て自分が嬉しくなる。

やなせさん、「人は何がいちばん楽しい
んだろう」と考えて考えた末、「ポンッ」
と出てきた答えは、「よろこばせごっこ」
だったのデス。

 

人生すごろく、話にはまだまだその先があった。


 「遥かなる山の呼び声」列車のシーン

 

山田洋次監督の“民子三部作”ってのが
あります。

1つが「家族」。2つ目が「故郷」。
3つ目が「遥かなる山の呼び声」。

3作品とも、倍賞千恵子演じる“民子”が
出てきます。

ワタクシは、3作品目の「遥かなる山の
呼び声」がいちばん好きです。
名作です。

何度も見ました。

高倉健、倍賞千恵子のW主演、ハナ肇が
バイプレイヤー。

ハナ肇さんが亡くなった日、追悼特別
企画でこの映画が放映されたのを覚えて
います。

先日もBSでやっていた。

初めて見るまでは、きっとアメリカの
映画「シェーン」の日本版だろうと思って
いました。

「シェーン」はアメリカのフロンティアの
時代、ある男が未亡人と息子のいる家に
フラッとやってきて、仕事をさせてくれと
言う。

未亡人の奥さんはその男を警戒し、何や
かんやあったけど、息子がすっかりその
男になつき、未亡人の気持ちが変わって
いった。

ある日、母と息子が事件に巻き込まれた時、
男は命がけで救ってくれた。
しかし男は去ってゆく。

そして息子が、「シェーン、カムバック!」
で物語は終わり。

ここで皆さん、涙を誘われます。

「遥かなる山の叫び声」も「シェーン」
同様、これで上がりかと思っていたら、

おっとどっこい、そうは問屋がおろさない。

人生すごろく、話にはまだまだその先があった。

刑事と、手錠をはめられている高倉健の
斜め向かいの席にハナと倍賞が座ると、

(倍賞)「虻田(ハナ肇)さんがいろいろと」
             
(ハナ肇)「ああ、あのバカが親切に面倒をみて

      くれてるわけだ。よかった、よかった。」
              

と言った瞬間、ハナは涙が止まらなくなり、

顔を覆い隠す。高倉健の目にも涙が・・・。

この最後の列車のシーンでハナが風間
民子(倍賞)の気持ちを芝居風に伝えるという、
驚きの結末が待っていた。

山田洋次監督のいきな計らいか。

真冬の網走行きの列車、凍りつくほど
寒いのに、何だろう、この暖かさは。

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