
ある日、突然ミトコが家にやって来た

ある日、細胞内小器官のミトコンドリア
が、ワレワレの祖先の古細胞アーキアの
中に入って来た話を物語風に話すとこう
なる。

ある日、突然ミトコが家にやって来た。
ある日、目覚めると、知らない人が家の
中を掃除していた。
(アキ)『オマエ、誰だ?』じっと睨んで
(ミトコ)『あなた、どうして家の中にば
かりいて外に出ないの?』
(アキ)『外になんか出たくないんだ!』

無精で怠惰なボクは家事なんかしないし
、働いてもいないのだ。家事をしている
のが、ミトコンドリアの祖先(アルファ
プロテオバクテリア)。そして残念ながら
、この怠惰な男がワレワレの祖先の古細
菌(アーキア)という設定だ。

ミトコンドリアの祖先(アルファプロテオバクテリア)がある日、ワレワレの祖先(古細菌アーキア)の中に侵入して来た。
(ミトコ)『何もしない?何食べて生きて
るの?さっ、お料理、作ろう
かしら!』
(アキ)『おい、ちょっと、窓開けないで
くれよ!酸素が入って来るじゃん!』

『おい、ちょっと、窓を開けないでくれ!酸素が入って来るじゃないか!』
ミトコはそんな言葉は聞き入れず、
『よ~し、酸素満タン!どうぞ、私の得
意料理ATPを食べて!食べたら元気がで
ますよ。』

ミトコが作ったATP料理
(アキ)『何コレ?なんか力が出て来たぞ
!ねえ、ところで君、名前は?』
(ミトコ) 『わたしの名前はミトコ。』
ミトコが来てから生活の全てが変った。
働く意欲が湧いて来たのだ。ボクは仕事
を探し始めた。『何と、このボクが外に
出かけるなんて!』

無精で怠惰なボクは家事もせずにゴロゴロしていたのに、ミトコが来てからというもの、生活の全てが変った。ボクは仕事を探し始めた。
こうして、ボクとミトコの奇妙な関係が
始まったのだ。それは恋愛関係とは違う
、まったく新しい関係だ。細胞内共生。
『よろしくお願いします!』私たちの祖
先の中に棲み始めたミトコ。

『ミトコ!家は?』
『ないの!』
ある時、ふとしたことからミトコの事情
を知ることととなる。ミトコの日記。
『今日は食べ物を横取りされた。悔しい
!』
『ウイルスに襲われた!安全な家が欲し
い!』
『誰もワタシを守ってくれない!』

ミトコの日記には『今日は食べ物を横取りされた。悔しい!』とか『ウイルスに襲われた。安全な家が欲しい!』とか『誰も私を守ってくれない!』と書いてあった。
何と過酷な人生なんだ!
『ミトコ、でも何で僕なんかの所に来た
んだい?』
『あなたにはアタシが必要で、アタシに
もあなたが必要だったのよ。』
『ありがとう、ミトコ!』

約20億年前、ミトコンドリアは古細菌アーキアの中に棲みついた。(細胞内共生)
あれから約20億年後、ボクは驚くべき進
化を遂げ、活動的で貪欲な人間になった。
『今日からはこのスケジュールで働いて
くれ!どうだ、できるか?』
『もちろん、できるわ!』
休まず、働き続けるミトコンドリアによ
って生き長らえている私たちの命。しか
し、働かせ過ぎると、突然、調子が悪く
なる。そしてミトコにも限界が訪れた。

休まず働き続けるミトコンドリア。しかし、働かせ過ぎると、突然調子が悪くなる。
『バタン!』
『ミトコ?どうしたんだ、ミトコ!』

働かせ過ぎて、ある日ミトコが倒れた。
『ん?何だ、この臭いは!くさっ!な、
生ゴミだ!』
ATPを作った際に出た生ゴミを一度も捨
てていなかったのだ。しかもコレはただ
のゴミではない。実はコレ、活性酸素。
ATPを作りだすのと同時に常に出て来る
有害物質。

『臭っさ!何これ?』ATPを作った時に出て来る活性酸素をミトコは1度も捨ててはいなかったのだ。
『ゴホッ、ゴホッ、苦しい!』
『ミトコ、大丈夫か?あっ、新しいミト
コ!ええっ?』
『あたしが来たからにはもう大丈夫!
ミトコンドリア融合!』

ミトコンドリア融合によって、再利用ができるのだ。
『き、君はミトコなのか?』
『そうよ、私もミトコ。あなたが働かせ
過ぎたからこんなことになったのよ!』
『ゴメン!君に無理させてしまって、許
してくれる?』
『うん!』

約20億年前から細胞内共生している2つの細胞
太古の昔から私たち生命を支えてきたミ
トコンドリア。
『私たちはお互い必要なんだね。』
『僕たちは一番古いお友達さ!』
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