脾臓自身も、自分が何のためにあるのか忘れてしまったのでしょう。


      肝臓と脾臓

 

学生の頃、解剖実習で肝臓と脾臓を
解剖したことがあります。

肝臓はご存知のとおり解毒をしてくれる
臓器なのですが、なんでこんなにデカイ
んだろうと思っていました。

「そんな素朴な問い」に、解剖学者の
養老孔子(仮名)さんの書いていた本で
ヒントを見つけました。

「文明以前には、お腹がすいたら何でも
食べるほかはなく、それなら食物に有毒
な成分が含まれていることはよくあった
はず。当然、肝臓はデカくなった。とこ
ろが人間が文明化したからといって、
遺伝子系はそう簡単には変わらない。だ
から肝臓は文明以前の名残を残してデカ
イままなんでしょう」と。

もう一つ、「脾臓も何のためにあるのだ
ろう」と思っていました。
いらないんじゃないの?

だいたい、脾臓のやっていることといっ
たら、赤血球を壊すことくらい。

それなら肝臓だってちゃんとやっている。
まぁ、代わりのヤツがいるってワケです。

で、またまた養老先生、登場。

「脾臓は何かあった時には必要なのかも
しれない。ただ、その『何か』が滅多に起こ
らない。その『何か』が長いこと起こらな
かったので、脾臓自身も自分が何のため
にあるのか忘れてしまったのでしょう」と。

生物の歴史は、背骨ができてから5億年。
たかだか数千年足らずの人間がそう簡単に
うかがい知れるものではないようデス。

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