前回ゾウの話をしたので、歯医者の目から見たゾウの歯の話をします。
ゾウは体がデカイだけあって、毎日食べるエサの量もケタ違いに多く、野生の場合、なんと200キログラムを超える。硬い木の皮や砂にまみれた木の根までバリバリ食べなければ、あの巨体を維持できない。
ところが、そのバリバリ咬み砕くための臼歯が、上下左右1本ずつ、たった4本しかない。そしてその1個分の大きさといえば、ヒトの大人が履くゾウリ1個分で、その咬み合う面はまるで運動靴の裏のようで、この臼歯の生え方がおもしろい。
ゾウの臼歯は古い歯のうしろ側に新しい歯が生えて、それがだんだん前の方に移動している。古い歯は後ろから押されるにつれて手前の方から欠け落ちて、やがて新旧交代する。
つまり、歯ナシの期間はまったくないのだ。
酷使されるゾウの歯は10年くらいしかもたないから、ゾウの寿命が6、70年ということを考えれば 臼歯が6回も生え変わるのもうなずける。
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