どんな生物もそうですが、ヒトも生まれ
てから亡くなるまでの寿命が定まってい
ます。なぜだろう?
いろんな仮説がありますが、先日NHK
の「ヒューマニエンス」という番組を
見ていたら、「テロメア」が関係してい
ると言っていた。
テロメアって、あまりなじみのない言葉
ですが、コレ、染色体に収められたDNA
を保護するCap(ふた)みたいなもの。
コレ、細胞分裂するごとにだんだん少な
くなっていくのですが、そのうちだんだ
ん分裂できなくなる。
まぁ、回数券みたいなものなので、使い
切ったらおしまい。
染色体は、分裂しなくなって新陳代謝が
できなくなれば、生物は老化して死んで
しまう。
これに目を付けた人がいて、まぁテロメ
アが短くならないようなタンパク質を見
つけたらいいんじゃねぇの?と考えた。
実際、1985年ゾウリムシの仲間からとれ
た酵素で、テロメラーゼというのを発見
した。
「これを利用したら永遠に細胞が分裂し
て、永遠に年をとらねぇぞ。不老不死の
クスリじゃ!」と期待を寄せてマウスの
ヒフに入れてみた。
すると期待通り、細胞分裂がおさまらな
くて、いつまでたっても新陳代謝が続い
て、「ヤッタ~!年とらねぇ!」と喜ん
だのもツカの間、思わぬ事態が起こった。
ソシキの中にガン細胞が増えたのデス。
何もしなかったら年をとって死んじゃっ
た。でも、年をとらないように細胞をい
じったら、年はとらなかったものの、そ
の代わりガン細胞ができて死んじゃった
。つまり、生き物には「不老不死を許さ
ない死のシステムがある」のだ。
これぞ生命最大の発明品。