③言葉の魔術『木綿のハンカチーフ』

『木綿のハンカチーフ』を作詞した元はっぴーえんどの松本隆(向かって右端)

               【続きです】

そして最後の4番。ここに来て彼は君を
忘れてしまった。『ぼくは帰れない』な
どと大胆発言をしている。チョット、こ
の『ぼく』は冷たくないかい?地元にい
る『私』がちょっとカワイソウになる。

都会の生活が気に入って『僕はもう帰れない』

そして4番の後半がこの歌のクライマッ
クス。モノの代償よりも彼がそばにいて
くれることを切に願い、『贈り物』なん
か何も要らないと言い張って来た彼女が
突然、『最後のわがままよ』と前置きし
て、ついに相手にねだるのだ。そして欲
しいものは『涙拭く』ための『木綿のハ
ンカチーフ』だと言うのだ。とても切な
い幕切れでした。

四番『涙ふくハンカチーフください!』

その続きがあったら聴いてみたいのです
が、まあ、後はそれぞれ、皆さんの体験
に基づき御自由に想像して下さいだ。結
論を持って来ないのがイイ。日本人が得
意とする、結論を曖昧にする歌だ。
彼女が『東へと向かう列車』に飛び乗る
なり、『ぼく』が西に向かうなり、どうぞ
御自由に想像してちょうだいってことだ。

ちなみにこの歌には続きがあって、松本
隆・作詞の『赤いハイヒール』がそうだ
と言う人がいる。

続編が『赤いハイヒール』?

もしも5番を作れ、と言われたならワタ
クシならこう作る。『ぼく』は都会での暮
らしに疲れ果て、西へと向かう列車に飛
び乗り、故郷へ向かう。しかし『ぼく』
はそこで、数年前に結婚して、子供もい
る『彼女』が幸せそうに暮らしているの
を目撃する。そして彼女は『今の幸せを
壊したくないの』だと言う。

数年前に結婚した彼女には子供たちがいて、あなたのことは今でも好きだけど『今の幸せを壊したくないの!』だと言う。

そして彼は初めて、本当に大切なものは
目に見えるモノよりも、目に見えない
『真心』や『思いやりの心』だったのだ
と気ずく。そして寂しそうに都会へと帰
って行く。たぶん、こんな感じ。

『あなたがそばに居るだけでよかった』

ワタクシが作るとどうしてもテーマが、
サンタさんの目に見えない『真心』とか
『思いやり』とか『幸せを祈る気持ち』
にベクトルが向いてしまう。

ワタクシが作ると、どうしてもテーマがサンタさんみたいに『大切なものは目に見えないんだよ!』というふうになってしまう。

                            おしまい

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