「一生ケンメイであってはならず、一生ケンメイでなければならない」

 

口腔外科手術

 

学生の頃、口腔外科手術のオペで手術に
立ち会ったことがあります。

学生実習では、手術着を身に着けて、最
初から最後まで後ろでじっと観察します。

カルテを読んで今日に至るまでの経過、
診断、オペに使用する術前の麻酔薬剤、
器具、術式、術後の麻酔の覚せいなどを
レポートにまとめて提出します。

こういうオペは重症なので、全身麻酔が
ほとんどです。

ところが、簡単なオペだと局所麻酔で
行います。

意識はありますので、たまに患者さんが
不機嫌になることがありました。
何か怒っている。

「医者がムダ話をしている」とか、
「冗談を言って笑っている」って、
真面目な患者さんほど不機嫌になる。

でも、そのくらいの余裕がないと危ない
ということです。

たぶんそこが一番、オペする側と患者さ
んの考えがズレてるところじゃないかな。

歯科でもそうだから、医科の8時間位の
オペじゃあ、ドクターの方も真面目一本
じゃあ、もちません。

もしそういうopeを真面目一本でやると、
どこかでチョイミスをします。

実はオペの失敗って、思わぬところに穴
があって、一番基本的なことに気がつか
ない。

まぁ、人ってのは一生ケンメイになりゃ
あいいってもんじゃありません。

何回もやった方ならわかると思いますが
、一生ケンメイになっている時に何かが
ポカッと落ちる。

真面目でいいと思っておられる方はおそ
らく、人間に対する信頼が非常に強いの
か、真面目ならちゃんとうまくいくハズ
だと考える。

ある耳鼻科の先生が短いエッセーを書い
ておられて、そこに「慣れてはならず、
慣れねばならぬ」と書いてあった。

オペに言い換えれば、「一生ケンメイで
あってはならず、一生懸命でなければな
ならない」ということか。

医者が気を抜くからうまくいかないとい
う風に考える方もいますが、逆にそのく
らいリラックスして余裕がないとうまく
いかないという面もあるんです。

 

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