先日ある旅行会社が、「日本でいちばん
行ってみたい街はどこだ?」というアン
ケートをとったら、3位が函館、2位
札幌、そして1位が京都という結果が
出ました。
旅行会社が統計をとっているので、やっ
ぱりその辺へみんなに行ってもらいたい
のかなと思ったりもします。
実は京都はワタクシ、住んでいたことが
ありまして、でもその頃は古い街だなぁ
くらいしか思っていませんでした。
若いこともあって、関心もたいしてなか
ったものですから。
でも今なら、京都の歴史にも多少興味が
あります。
オッさんになったんだなぁと思う。
京都の洛中で生まれ育った老舗の令嬢の
話デス。
そのお嬢さん、若い頃、いい縁談があっ
てもいつも平気で断っていました。
30過ぎたある日、久しぶりに縁談が
やってきた。
「とうとう山科の男から縁談があったん
や。もうカンニンしてほしいワ」
経済的な水準が下がったということでは
ありません。
地理的な条件が落ちたのだという。
「山科の何がアカンのですか?」
「そやかて、山科なんかに行ったら、
東山が西の方に見えてしまうやないの」
確かにその通り。
東山の山並みは、洛中から眺めれば東側
に広がっている。
東山と呼ばれるようになったのも、その
ため。
そして山科は東山のさらに奥、その南東
に位置している。
あそこまで行けば間違いなく東山は西の
方にその姿を現す。
でも、それの何がつらいのか。
暮らしていくのに不都合なところはどこ
にもないではないか。
東山のウラ側を眺めて過ごすだけのこと。
洛中に生まれて育った者には、洛外に
住むということが耐えられなかったのか
もしれません。
たしかに、洛外に行けば怨霊がうじゃ
うじゃ住んでオルと信じられていた時代
ですからねぇ。