実は上唇って、赤く見える範囲だけではありません。

 

5~6才の幼児が転んで鼻の下をぶつけて、
そこから血が出てお母さんがびっくりして
歯医者さんに駆け込んでくることがあります。

上の前歯は、ちょっとグラグラ。
でもその年頃は乳歯の根っこは溶けてきている
ので、チョットぶつけただけでも動揺します。

まぁ、フツウは大丈夫。

そんな時、お母さん方は「鼻の下をぶつけた」
と言って来られる。

素人ならそれでいいのですが、ワレワレ歯
医者はカルテに書く時や添書で口腔外科の
先生のところにお手紙を出す時、“鼻の下”
ではまずい。

その場所は解剖学的には「上唇」と言うので、
カルテには「上唇」と書きます。

唇といえば、誰だって赤いところじゃないの?
と言いますが、唇というのは何も赤く見える
範囲だけを指すのではありません。

唇には上唇と下唇があって、鼻唇溝といって
鼻の両脇に下へ伸びる溝がありますが、上
唇とは赤いところを含めて、この溝から内側
の鼻の下をいいます。

そしてこの溝より外が「ホオ」。
まぁ、上の歯の前にかぶさっている相当大き
な台形の部分がヒトの上唇だと思っていただ
けたらイイ。

ところで、唇やホオがあるのはほ乳類だけです。
小さい頃はオッパイを吸って大きくなります
から。

は虫類や鳥類や魚類なんかはオッパイを吸わ
ないので、唇やホオなんてものの必要がない
ので、存在しない。

ただ骨の上に皮が乗ってるだけなので、喜怒
哀楽の表情がないのデス。

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