
湯布院の朝露を妻と一緒に見てみたかった。
【続きです】
今、毎月届く年金をどのように使ってい
ますか?今後の老後に備えてなるべく手
を付けず貯めていませんか?もしもの為
にと自分を抑え込み、使うことを先送り
にしていませんか?

毎月届く年金をどのように使っていますか?
年金を貰うようになった私は、医療費が
想像以上にかかったらどうしょう?とか
、大きな地震や台風で家を直さなければ
ならなかったらどうしょう?とかそんな
もしもがいつも頭のスミに居座っていた
のです。心の不安が私を縛っていたのデ
ス。気がつけば財布のひもをきつく締め
る毎日になっていました。

医療費が想像以上にかかったらどうしょう?という不安が私を縛っていたのデス
しかし、99歳になった私にははっきり見
えるのです。あの頃私を縛っていた漠然
とした不安は、まるで霧のように実態の
ない幻想だったのです。その幻想に人生
を左右されてしまったのです。

妻はいつの日にか二人で行けるように、雑誌の切り抜きをファイルしていた。
妻が雑誌の切り抜きを大切にファイルし
ていたのを思い出すと胸の奥が絞めつけ
られます。結局私たちは一度も旅行と言
う夢を叶えることもなく、彼女は旅立っ
てしまったのデス。あの熊本城の石垣を
、長崎の坂道を、湯布院の朝霧を、私た
ちは伴に歩くことが出来なかったのです
。

熊本城の石垣を妻と一緒に登ってみたかった。
もしあの時に戻れるなら、迷わず切符を
買っていたと思います。お金は使う為に
あるのデス。それも今を豊かにする為に
あります。お金よりももっと大切なもの
があったのです。それは時間であり、心
であり、誰かと共に過ごすひと時だった
のです。

長崎の坂道を妻と一緒に歩いてみたかった。
老後に必要なのは貯金や保険だけではあ
りません。今日と言う日をどう生きるか
。おいしいものを味わい、花を買って部
屋に飾り、新しい趣味に挑戦し、親しい
人に小さな贈り物をし、届ける。そうい
った何気ない日々の丁寧な使い道こそが
、人生を豊かにし、心を満たすのだと私
は気ずきました。

親しい人に小さな贈り物をし、届ける。そういうのが、人生を豊かにし、心を満たしてくれるです。
【また続く】