転塾・『いちばん元気に泳げる池』(後半)

 

 

      【続きです】

『先生はどうやって、前田さんを説得し
たんですか?』

『いちばん元気に泳げる池を教えてあげ
たまでです。競争をあおり、子供を追い
込むルトワックのやり方は、彼女にとっ
て必ずしも合っていない。ほめて伸ばす
桜花の方が彼女には合っている。

『花恋、話したい事があるの。』

『ママ!何で泣いてるの?』

無理に桜花を辞めて、ルトワックに転塾
するのを留めたところで、頭が良く自尊
心の強い彼女は納得しない。不安やいら
立ちの原因を取り除くことは出来なかっ
たでしょう。

『私、何か悪いことした?』

やらせてみて、気ずくのを待つか、誰か
を頼るのを待つか、彼女の母親は受験生
の親としては理想的です。子供の自尊心
を尊重し、それを最大限にサポートして
いく。

『花恋が思ったようにすればいいのよ。』

ただし相手は6年生。たかが11~12歳の
子供です。失敗や間違いを起こします。
その子が欲しいものと必要なものは必ず
しも一致しない。育つ環境を見まがえず
、提供していく。オトナたちがその経験
から慎重に子供たちの手を引いてやらな
ければならない。』

『先生は前田さんがここまで追い詰めら
れるのを待っていたんですか?』

『はい!それが何か?私は医者でも母親
でもありません。彼女を第1志望に合格さ
せる。私の仕事はただそれだけです。』

      おしまい

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