戦時中の野戦病院歯にも「自然治癒力があるのです」と言うと、驚かれる方がいます。
ふつう歯は生命反応のない口の中で、石のようにじっと黙っているものと皆さん思っていますから。
ワタクシも歯学部で歯の生体を学ぶまでは、「歯は何も言わない単なる無機物で、やがて口の中に棲むバイ菌に一方的に侵されていくんだろう」と考えていました。
でも学んでいくうちに、歯ってのは実は心臓や肺、脳と同じように生きていることがわかってきました。
だって、歯の中側にも外側にも神経や動脈、静脈なんかの生命を持続させる装置が網の目のように張りめぐらされているのですから。
口の中は、硬いモノ、熱いモノ、冷たいモノ、酸っぱいモノ、バイ菌、毒素など、いろんなものが入ってきます。
だから歯は傷ついてしまう。
そのようなモノから鎧を着た硬い歯が守ってくれて、その歯を唾液が守る。
そして歯ぐきの中に侵入してきたバイ菌に対しては、免疫物質が戦ってくれる。
まぁ、口の中は何でもありの野戦病院なのです。