
人はな、一生のうち何度かこう問われる
時が来る。『カネを取るか?信用を取る
か?』ってな。その場ではカネを取った
方が得に見える。目の前の問題も片ずく
し、少しは楽になる。だがな、後になっ
て必ずツケが来る。カネを取った瞬間に
信用が減る。それはゆっくりと自分の背
中を重くして行くんだ。

オレはカネを失ったことが何度もある。
けどな、不思議と人は離れなかった。何
故か?『角栄は裏切らねえ!』と思って
くれたからだ。信用ってのは貯金と同じ
で、コツコツ積むしかねえ。だから、一
度裏切れば一瞬でゼロになる。

ある事業でトラブルが起きた時もそうだ
った。オレが責任を被れば会社は潰れず
に済む。でもな、自分だけ助かる道もあ
った。その時オレは迷わずこう言った。
『カネはまた稼げる。でも信用は買えね
え。』ってな。信用を選んだんだ。おか
げで助けてくれる人間が増えた。カネは
あとから勝手に付いて来た。

だからオレは断言する。『信用ってのは、
どんな時代でも最強の通貨だ!』カネを
稼ぐことは簡単だ。だがな、信用を稼ぐ
のは難しい。けどな、信用さえ残ってり
ゃ、何度でも立ち上がれる。それが人生
のホントの『資産』なんだよ。

カネってのはな、人を幸せにする道具だ
。だがな、使い方を間違えれば、人を壊
す毒にもなる。だからこそ、『情』を忘
れちゃいけねえ。人の痛みをわかるヤツ
が最後は一番強いんだ。計算よりも思い
やりを信じろ。カネはそのあとに必ずつ
いて来る。

オレはな、もう国の真ん中に立つことは
ねえ。だがな、次の世代がこの国を動か
す時、どうか、人情のバトンだけは落と
さないで欲しい。技術も制度も時代と共
に変わる。けどな、人の心だけは変えち
ゃあいけねえ。

田中角栄・元総理逝去(1918~1993)
カネに動かされるな!カネを動かす人間
になれ!それが生涯で学んだオレの
『成功の答え』だ。
