①乳は進化した(初期は汗を出す穴でした)

オーストラリアのタスマニアにトゲトゲ
の毛で身をって覆っているハリモグラが
います。ホ乳類の祖先に最も近い『生き
た化石』とも呼ばれる生き物です。何で
かと言うと、まず胎盤がなくて、赤ちゃ
んは卵で生まれて来る。

ホ乳類である証は、そのあと卵から孵っ
たばかりの赤ちゃんは、母親のお腹に懸
命に頭を押し付けるんですよ。何をして
いるのかと言うと、母親のヒフから白い
液体が染み出るんです。それを赤ちゃん
は飲む。実はこれが原始的な乳なんです

液体が滲み出ている

ハリモグラのお腹には100くらいのミル
クハッチと呼ばれる小さな穴があります
。もともとは汗を出すための穴でした。
そのため、当面のミルクは今日みたいな
ミルクじゃなくて、もっとシンプルな液
体。汗のようなものから進化したんです

もともとは汗を出す為の穴でした。

さらに遡ること3億年前、私たちの遠い
祖先はその汗を栄養補給の為に使ってい
なかったと言うんですよ。薄くて柔らか
い膜に覆われた卵を乾燥などから守るた
めに、お腹のヒフから汗のようなものを
出して命を守っていたのです。この液体
が母乳の起源だと考えられています。

その後、ホ乳類はこの乳を大きく進化さ
せました。特に免疫に関わる抗体を母親
から子供に移行させる子供は、感染症か
ら防衛されます。乳は母親から子供へ免
疫を与える重要なツールの一つなんです
。授乳中以外の乳房には免疫機能がほと
んど備わっていません。授乳中のお母さ
んはその期間だけ他の臓器から免疫にか
かわる細胞を借りて来て、授乳中の免疫
を作っています。

免疫にかかわる細胞を借りて来る

細胞を借りるってことってどういう事か
と言うと、出産1週間前に脂肪の中に腺
房という組織が現れ始める。これは乳を
作るためのもので、出産すると大きく膨
らんでいく。出産から1週間経つと脂肪
組織はほぼ腺房に置き換わる。そして小
さな細胞が現われる。免疫細胞です。
どこから来たのかと言うと、免疫がもっ
とも活発に働いている場所の1つ、腸か
らなんですよ。

出産1週間前の腺房

腸にあった免疫細胞が血流を通して乳腺
に移動して来たのだ。赤ちゃんが乳をた
くさん飲むようになると、免疫細胞はド
ンドン増えて、IgAなど感染を食い止め
る抗体もドンドン作られるようになって
行きます。授乳を止めるとこの免疫細胞
はまた無くなってしまうんですよ。

出産1週間後の腺房

新型コロナウイルスにかかってしまった
母親の母乳からは新型コロナウイルスに
対する抗体が分泌されます。なので、母
乳が赤ちゃんにとっては、栄養であり、
クスリであり、ワクチンでもあるんです
。汗から進化した乳は守り神なんですよ

       【続く】

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