①言葉の魔術『木綿のハンカチーフ』

生まれて12回目の春頃から、邦楽はダサい、洋楽は素晴らしい!などと、生意気なことを思うようになっていた。

ワタクシがまだ音楽を聴き始めて間もな
い、生まれて15回目の夏、洋楽こそがス
ベテでした。ミッシェルポルナレフ・ビ
ートルズ・クィーン・アバなど彼らの音
楽があれば他に何も要らなかった。部屋
にはビートルズのポスターを貼り、ミッ
シェル・ポルナレフの曲を聴きまくり、
学校の勉強も、クラブ活動の卓球もそこ
そこやって、一方ではミュージック・ラ
イフといった洋楽関係の本ばかり読むな
ど、忙しい日々を送っていました。

ワタクシの部屋の壁にビートルズのポスターを貼っていた

最初の洋楽でノックアウトされた曲がミシェル・ポルナレフの『シェリーに口ずけ』でした

しかし、一歩自分の部屋を出ると、聞こ
えてくるのは歌謡曲やニュー・ミュージ
ックといった邦楽ばかり。とにかく洋楽
命だったワタクシにとって、邦楽は聞く
に値しないモノと決め込んでいた。今振
り返ると、カッコつけて音楽を聴いてい
た生意気な子供だったのです。

カッコつけて洋楽ばかり聴く生意気な子

当時のワタクシはステレオ・コンポすら
持ってなく、あったのは電蓄のレコード
プレーヤーと原始的なカセット・レコー
ダー、そしてAM・FMラジオ・ブラウン
管テレビだけでした。だから新曲の情報
源は自ずと身近なラジオやテレビ。

当時は最新であったが、今思えば原始的なカセット・レコーダーだった。

そこでDJが紹介してくれる新曲に興奮し
ながら、ダサい邦楽を自分の中に入れな
いように頑張っていた。ちょっと時代は
下るけど、特に小林克也の『ベストヒッ
トUSA』なんかは食い入るように見て、
そして録音をし、最新のアメリカの音楽
情報を仕入れていました。

小林克也の『ベストヒットUSA』などからアメリカの最新音楽情報を仕入れていました。

そんなある日、ワタクシを膝まずかせる
ような大名曲に出会ってしまったのであ
る。それが邦楽。作詞・松本隆、作曲・
筒美京平、歌・太田裕美の『木綿のハン
カチーフ』だった。

作曲・筒美京平、作詞・松本隆、歌・太田裕美

『来るな!来るな!』と防衛線を張って
いるのに、その楽曲の波動が勝手にワタ
クシのヒフを破って、カラダの奥深くま
で侵入して来たのだ。

『木綿のハンカチーフ』の楽曲の波動が勝手にワタクシのヒフを破って、勝手に侵入して来た

覚えやすいメロディーに彼女の舌ったら
ずなボーカル、そして何よりもストーリ
ー性の高い歌詞にワタクシはノックアウ
トされてしまったのでした。

洋楽狂いのワタクシもノックアウトされた

当時の邦楽の世界においては、常識破り
とも言える4番まである長い歌詞を使っ
て田舎と都会で遠距離恋愛をしながらも
、少しずつ心が離れていく男女の微秒な
心境の変化を、見事に歌うという対話形
式を取り入れているところがスゴイかっ
た。

往復書簡による遠距離恋愛

これぞ作詞家・松本隆が天才だと言われ
る所以なんですよ。ワタクシはこの楽曲
で木端微塵に打ちのめされてしまいまし
た。そして、松本隆の歌詞を研究するよ
うになったのです。研究と言ってもただ
歌を聴いているだけなのですが・・・。

       【続く】

ブログ一覧