吉原遊郭の『花魁(おいらん)』ー散茶が大人気ー(中)

 

京都島原の葵太夫

      【続きです】

『太夫』というのは、例えば、お茶さん
にお客が来た。お茶屋さんから呼び出し
がありました。妓楼の自室で客からの呼
び出しを待ち、呼び出されたら妓楼を出
る。決して安売りはしない。それが太夫

他の遊女はどうやるかと言うと、張見世
をやる。張見世って妓楼の1階部分で道
路に面している格子付きの場所で、通り
すがりのものに愛想を振り撒いて、気に
入ってもらったら、決定みたいなアレで
す。太夫は張見世はやらない。これが最
高ランクの女・太夫。

最高ランクの太夫は張見世をしない。

次に『散茶』。実はこれがメチャメチャ
重要なんです。粉末状になったお茶のこ
とを散茶と言います。散茶は急須を振ら
ないで、お茶を注ぐだけで、美味しいお
茶ができるので、決して客を振らない遊
女のことを『散茶』と名ずけられました
。散茶ランクの遊女は吉原の外のお風呂
場出身の人が多かったトカ。

吉原遊女の階級ピラミッド。散茶がのちの花魁に替わった(オガワデザイン事務所)

上位(太夫・格子)の遊女はツンツン、お
高く留まっているのに、散茶の遊女は愛
想がよくて、柔らかな物腰なので、吉原
の中でも人気が高かったんですよ。

『局』は妓楼の中に自分の部屋を持つ遊
女のこと。

『切見世』仕切りは何とふすま1枚。隣からの声が筒抜け。

そして、一番下の『切見世(きりみせ)』
は逆に自分の部屋は持ってなくて、大部
屋をついたてで仕切った区画の中でお客
の相手をする遊女。

これが18世紀前半の遊女のランクなので
した。これをマーケットが評価したのか
どうか知りませんが、いいものは残り、
必要じゃないものは消えて行ったんです
よ。太夫・格子が消え、散茶が繰り上が
り、花魁になったわけです。

       【続く】

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