『かげろう日記』と言うのがありますが
コレ、平安時代に藤原道綱の母が書いた
日記で、思う通りに行かない夫婦の話が
主で、日本で最初にひらがなで書かれた
作品。
今日はその日記の話じゃなくて、虫の
カゲロウの話です。
カゲロウって、トンボに似た弱々しい昆
虫ですが、成虫になって数時間後に死ん
でしまうんです。たった1日しか生きられ
ない。
アンパンマンの歌に『何のために生まれ
て、何をして生きるのか』と言うフレー
ズが有りますが、朝でてきて、夕方死ん
でいく。ホント、何の為に生まれるんだ
ろう。生きてて楽しいのだろうか。ワタ
クシなら楽しくナイ。そんなのイヤだ。
実はカゲロウには幼虫時代が何年もあっ
て、セミと同じように幼虫時代が長いん
です。
普通、昆虫の多くは卵から成虫になって
死ぬまで、数か月~1年。それに比べれば
2~3年も生きられるカゲロウは長生き。
だから、ワレワレの目にするカゲロウの
成虫は死ぬ間際の一瞬の姿。
ワレワレの祖先が、ヒレを持つサカナか
ら足を持つ両生類に進化し、地上へ進出
しようとしていた時、既にカゲロウの仲
間はハネを持ち、現在と同じように空を
飛んでいたらしい。
それから3億年、カゲロウは今も昔も同
じことを繰り返しているからスゴイ。
カゲロウにとって、成虫というステージ
は子孫を残すためのモノでしかありませ
ん。
成虫になったカゲロウはエサを獲ること
もない。それどころか、エサを食べるた
めの口も退化した。そもそも成虫のカゲ
ロウはエサを獲る装置が必要ないのだ。
エサを食べて、自ら生きることよりも、
子孫を残すことを選んだ。だから、口も
無ければ、眠ることもしない。まあ、
捨ててはならないものを捨てる戦略。
ハネを持った成虫がいたずらに長生きし
たら、子孫を残す前に天敵のエサになっ
ちゃう。だから、『命が短い』のは子孫
を残すための戦略。そして、ムシがいろ
んな形に進化したのは『短命』『多産』
のおかげ。
カゲロウのような形を残しながら、一方
では、樹が大きくなったり、植物が花を
咲かせるようになると、カゲロウの成虫
がだんだん変化して、チョウやハチへと
進化したと言う話です。