その日はチビスケの大学の入学式。ウチ
の奥さんは行くと言う。オレは行かない
けどネ。
で、朝からドタバタ。『この前、一緒に
買いに行ったスーツとネクタイと靴はち
ゃんと身に着けるんですよ。まだ寝てん
の?早く起きてね。あらやだ、もうこん
な時間?ワタシ、先に行ってるね。』当日
の脇役のウチの奥さん、一人で張り切っ
て入学式の会場『きたえーる』へ直行。
入学式が始まった。
今年は保護者の人数制限がない、コロナ
前同様の入学式。
応援団の人数制限も解除され、会場には
新入生へのエールが響き渡りました。
会場では次から次へと祝辞の嵐。
ウチの奥さん、2階席だったので、会場
をグルっと見渡した。『ウチの○○ちゃん
、どの辺にいるかな?あっ、いたいた!
後ろの方に座ってる。ギリギリまで寝て
たのね。まにあってヨカッタ。ちゃんと
行儀よく祝辞を聴いている。あっ、礼を
した!ヨシヨシ。今日はちゃんとしてい
る。
式が終わったら○○ちゃんと二人で食事
しようかな?そうだ、メールを打とう。
いや、ちょっと待てよ。ウチの○○ちゃ
ん、友達見つけて一緒にお昼ご飯食べに
行くかもしれない。ヨシ、ここはメール
を打つのは辞めておこう。』
会場を出ると『新入生の子供たち、親と
一緒に記念写真撮ってる。わたしも撮り
たいけど、主役がいないのに脇役を撮っ
てもねえ。ここはまっ直ぐ家に帰ること
にしょう。』
家に着いた。
ドアを開けた。
ん?何かイヤな予感!
玄関先には入学式用の黒い靴が朝と同じ
場所にあった。
『はて?』
『もしかして、・・・?』
チビスケの部屋を覗いた。
予感は的中。チビスケ、布団の中でゴロ
ゴロしていた。
『入学式は?』
『行かなかった。』
『#&$+*?』
『じゃあ、入学式の会場の後ろの方で行
儀よく話を聴いていたあの子、アレ、ま
ったくのあかの他人?もしかしてワタシ
だけが勝手に盛り上がってたワケ?・・
あれだけ言ったのに。だんだん、腹が立
って来た!』と、ワタクシのもとに訴え
のメールが届いた。
ハハハ、そうなんだ。そう言えばそう言
うオレも昔、入学式に出たんだっけなあ
,どうだっけ?
まったく記憶がないのだ。