教員免許を持たない超一流の素人教師たちの「文化学院」

与謝野晶子の文化学院

ワタクシ、時が許せば行ってみたい学校
があります。それが、大正10年に東京
神田にできた「文化学院」。
ここは今でいう、中高一貫の女子校の
はしり。芸術家たちがつくった学校。
「私立学校」です。与謝野晶子が創設し
ました。3年目にして日本初の男女共学
校。

この学校が面白いのは、当時の各界を代
表する知識人や文化人、まぁ与謝野晶子
も含めた、教員免許を持たない超一流の
素人教師たちが次々と教壇に立ったこと。

名曲『赤とんぼ』を作った山田耕作

作家の川端康成、随筆家の小林秀雄、社
会運動家の平塚らいてう、法学者の吉野
作造、詩人の萩原朔太郎、物理学者の寺
田寅彦、音楽家の山田耕作など、そうそ
うたるメンバーだ。

社会運動家の平塚らいてう

肝心の晶子の授業なんかは、作品に没頭
するあまり生徒たちのことをすっかり忘
れて、一人で古典を読みふけってしまう
ありさま。そういう晶子の姿に生徒たち
は釘付けになったトカ。

与謝野晶子

評論家の小林秀雄なんか、メチャメチャ。
まず、時間通りに来ない。20分くらい遅
刻してくる。来たと思ったら、黙ってタ
バコを吸い始める。2本目を吸い始める。
吸い終わる。そして教室の中をギョロッ
と見渡して、「ワタシに何か訊きたいこ
とはないか?なければ今日の授業はこれ
で終わり。じゃあ、帰る」。

随筆家・小林秀雄

これはつまり、生徒の方は聞かなきゃな
らない。これをやってくれと言われれば
、ヤル。すごくいい教育だと思う。
だいたい、芸術と教育は相性が悪いワケ
で、芸術というものは教えられないもの
の典型。芸術家ってのは技術よりも感覚
であったり、センスであったり、まぁ、
こんなのは教えられない。でも触れるこ
とはデキル。

芸術を教えることはできないが、触れることはできる。

まぁ、ここは学校というよりサロンに近
いかな。そこに行けばすばらしいものが
ある。こういう学校がボチボチでき始め
たということは、大正時代って平和ない
い時代だったんだろうなぁと思う。

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