昔の話です。ワタクシが学生だった頃、
毎週日曜日午後2時から約1時間、一人
部屋に座り込んであるラジオ番組を聴
いていました。それが松田聖子『ひと
つぶの青春』。
電波が届かないので時々、雑音が入る。
それにも負けず、ラジカセに録音して
いました。
日曜日の午後、突然ヒロインの部屋
(番組)に恋人としてのリスナーが訪れ
て、素顔の飾らない聖子ちゃんと楽し
いひと時を過ごすという設定。
その番組のテーマソングが
『HAPPY SUNNDAY』。
この曲の歌詞は確か、番組の中から公募
して選ばれた詞を原案にして、その詞の
エッセンスをちりばめながら、作詞家
松本隆が一気に歌詞を書き上げた。
作曲は財津和夫。
ストーリーはこうだ。
予告もなしに彼女の部屋を訪ねて来た彼
氏。送って来てくれたことはあっても、
部屋の中を見せるのは初めて。
急に訪ねて来てビックリした。(電話1本
くらい入れてよ!)そして素敵な時間を
過ごす。
『今日は何て素敵な日曜日なのかしら』
という幸せが伝わって来るような歌詞。
松本隆の詞は目を閉じるとそこに風景が
見えます。そして歌を聴きながらそれぞ
れの身に置き換えて妄想する。
当時はバブルで、今日よりも明日の方が
良くなるとみんな信じていた。ラジオで
はこの後、リスナーのおたよりと聖子ち
ゃんの早口の可愛らしいお喋り。そして
曲。そうやって楽しい1時間がアッと言
う間に過ぎたんです。
先日、六十を過ぎたオッサン連中に、
松田聖子『ひとつぶの青春』聴いた事
ある?と聞くと、『うん、あるある!』
と。みんな口には出さないけど、確かに
聴いていたのだ。そしてみんな、幸せの
エッセンスを注入して貰っていたのだ。
余談なのですが、そのあと松田聖子が出
したアルバム『パイナップル』の中の
1曲、『ピンクのスクーター』は、実は
女の子が突然男の子の部屋を訪れると
いう、『HAPPY SUNDAY』の
逆バージョン。まあ、どうでもいい話
なんですけど。
バブルの頃はこんな遊び心がいっぱい
ありました。やっぱり、青春って大切
だよね。