生物には共通の部分というのがあって、
それが呼吸であったり、栄養をとること
であったり、排せつだったりします。
生きていくということはそういうことを
することで、人間も他の動物でもその辺
は大して変わりません。
でも、脳の発達っていうのはすごく面白
いところがあって、例えばフツーの自動
車のエンジンの開発で新しいエンジンが
できると、古いエンジンを全部捨てて
新しいのを載せますが、脳の場合は古い
モノは残しておく。
そして、残した上に進化するにつれて新
しい脳をどんどん重ねていく。
具体的に言えば、古い脳の大脳基底核
(線条体が中にあります)の上に新しい
脳の大脳皮質(前の方に前頭葉がある)
を重ねていく。
大脳基底核(の入り口にある線条体)は
快楽を感じるところ。
それに対して、大脳皮質は未来を予想す
るところ。
ドーパミンという快楽物質が神経を通し
て中脳から出て線条体に行き、あるいは
中脳から直接前頭葉に行く。
「今日1個あげるけど、ガマンしたら3
個あげる」という話になると、原子脳の
線条体は「3個あっても今日の1個の方
がいいや。今、食べたいんだよう!」と
なる。
まぁ、人間以外の動物は脳が発達してい
ないので、ヘソ曲がり以外はだいだいこ
んな風になる。
でも人間のように脳が発達して前頭葉の
ところに刺激が行くと、「ちょっと待て
よ。3個もらえるんだったら、待った方
がいいな」と考える。
太古の昔は原子脳の線条体しかなかった
ので、それが働いて目の前のモノを追い
かけるダケでよかった。
でもエサが足りなくなることもある。
これじゃあエサが足りなくなるぞという
ことで、ヒトは新しい脳、つまり大脳皮
質を獲得して、その中にある前頭葉を使
って、長期的にこうすれば食料を獲得で
きるぞという風に考えるようになった。
それで他の動物なら考えもしない農耕を
するようになったのだ。
ヒトとサルは脳の使う場所が違うんデス。