村上夏樹(仮名)の本のコト

ノルウェイの森

 

今年も村上夏樹(仮名)さんはノーベル
文学賞を取れませんでした。

今年もダメだった、というのが恒例行事
になっています。

彼は昔、ジャズバーを経営していたので
すが、何となく彼のやっていたバーがど
ういう感じか想像がつきます。

トイレはきちんと掃除してあって、使い
やすいように手を出したところにペーパ
ーホルダーがあるとか、スペアもしっか
り補充してあるとか、乾いたタオルが
ちゃんとかけてあるとか。

お客さんが不愉快な思いをしないように
、できることは全部きちんとやってある。

そういう気配りが村上さんの本にはあり
ます。

だからページを開いた瞬間に、「いらっ
しゃいませ」っていう声が聞こえる感じ
がする。

と、誰かが言っていました。

彼の本にはまぁ、常連客に対する目配せ
みたいなものが全くなくて、基本的には
初めての客でも同じサービスを提供して
くれそうな雰囲気を感じます。

ところで、本を読むのって、部屋のドア
を開ける感じに似ています。

ドアを開けた時に部屋の中は見えるけど
「その先」が見えないドアと、部屋の
向こうに別のドアが開いてて、その先に
広々と青空が見えるドアがあると思うん
ですけど。

ドアを開けると「その先」に続いている
次のドアが見える本だと、「ああ、この
本を読むとあっちへ抜けられるのだな」
ということがワカル。

論文を読んでいてつらいのは、部屋が
真っ暗でどこまで行っても先が見えず、
そのうちゴンと壁に突き当たって、「い
ったいオレはどこに向かっているのだ?
どこに出るのだ?」と出口がわからない
ことです。

「村上夏樹氏の本は、ドアを開けると
ドアの向こう側にドアがきちんと5㎝
くらい薄く開いていて、スキマから緑や
青空がチョット見える。『あっちへ行け
ばいいんだな』と出口がわかっているか
ら、寄り道して部屋の中でぐるぐる壁を
見たり書棚を眺めたり音楽を聴いたり、
必死に出口に行かなくてもいい」って、
これも誰かが言っていた。

とにかく彼の書く本は至れり尽くせりで
、親切なのだ。

でも親切だけじゃあ、ノーベル賞をもら
えないんだろうなぁ。

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