歯医者さんでやっている予防とかリコー
ルは、まぁ、予防医学の分野です。
でも、予防はあまり人気がありません。
“起こらないように”努力をしている学問
なのに。
それが大切だと気づくのは、何かが
起こった時。
「あ~あ、先生の言うことを聞いていた
らよかったなぁ。」
と、起こった後で悔やみます。
考えてみたら、「抗生物質で病気が治っ
た」と説明される方を患者さんは好みま
す。
積極的にクスリを投与したら病気が
治った。
その考え方の方を患者さんは好むよう
です。
「カラダを取り巻く状況をよくしてやっ
たら病気がひとりでに良くなった」なん
て話したら、「ふぅ~ん」という反応が
返ってきて・・・。
まぁそれはいいとして、歴史は「起こっ
たこと」の連続として書かれています。
でも、人間の毎日の活動を集めたものが
歴史だとしたら、歴史の大部分は「起こ
ったこと」のウラにある「何も起こらな
かったこと」で埋め尽くされます。
だってワタクシたち、「事件が起こらな
い」ように注意して生きていますから。
だけど、何も起こらないように努力して
いることにどうも敬意を払われていない
ような気がします。
どうやらヒトは「起こったことを好む」
イキモノのようデス。
歴史も、ジャーナリズムも、「クスリで
病気が治った」と説明されることも。
そりゃあそうです。
テレビでアナウンサーが、「今日は何も
起こらなかったのでニュースはありませ
ん」なんて言ったら、スポンサーがビッ
クリして、「おい、ニュースがないなら
そこの円山動物園にでも行ってゴリラの
赤ちゃんが生まれました、とかまぁ何で
もいいから、とにかく取材してこい」と
言いそうです。
「視聴率!視聴率!」