
【続きです】
そういうことが出来るヤツって、自分と
は別世界の、カンキョウにも才能にも恵
まれた、ごく一部の特別な人間だって心
のどこかで思っていたんです。親にもそ
う言われて育って来たってのもあります
が。

エリート
なのに同じクラスの友達がフツーに何で
もないことのように言ってて、それを聞
いた時、今まで生きてる中で培われて来
た意識の違いみたいなものに、絶望的な
気持ちになったんです。でも、よく考え
てみたら、今は自分も同じ土俵にいるじ
ゃんと気がついて、正直超キツイけど、
オレにも選択肢があるじゃんという事が
ワカって、のび太は出木杉君を通して急
に東大が身近な存在になったんですよ。

出木杉君を通して、のび太は急に東大が身近な存在になった
先を行く出木杉君が別世界の人間なら気
ずかずに済んだのに、同じ世界にいるこ
とで気ずいてしまったんですよ。
『そもそもやれない』から『やれるのに
やらない』に考え方が変わってしまった
んですよ。選択肢が増えたということは
『人生の地図』が書き換えられた瞬間と
も言えるんじゃないかな。

出木杉君が同じ世界にいることで、のび太は自分でも東大を目指すことができることに気ずいた。
確かに知らない世界を目標にするのは難
しいかもしれません。人はフツー見たこ
とのない線を越えようとは思いません。
それは怠けとか才能の差ではなくて、只
のび太の地図には載っていなかったから
。でも彼はそれを体験として知ってしま
った。同じ教室に別の世界を生きている
人間がいるということをね。だから苦し
いし、痛いし、劣等感や焦りを感じる。

今までの、のび太の『人生の地図』には出木杉君の目指している世界は載っていなかったが、出木杉君と付き合うようになって、そういう世界が身近にあるということ、自分でもチャレンジできるということを知ってしまった。
でもその痛みと引き換えに、世界の解像
度が一段上がったんですよ。そして彼は
新しい選択肢を選んだのです。既存の選
択肢を選ぶのも新たな選択肢を選ぶのも
、どっちがイイというわけではありませ
ん。

壁を登ると、そこには意識の高い人の集まる風景や見たことのない世界が広がっていた。
でも一つわかったことがあります。それ
は『そういう人間がいる』『そういう生
き方がある』出木杉君が目指している大
学のように、意識の高い人達の集まる場
所が、見たことのない世界や壁の向こう
の世界に連れて行ってくれるかもしれな
いってことをね。

おしまい