
NHK・BS『ヒューマニエンス』より『Tレグ』
【続きです】
3つのTの中で謎の使命を帯びていると
紹介した第3のT細胞Tレグ(謎の男子高
生Tレグ)。その出番がやって来た。
現れたのは一見、この学園にそぐわな
い異物のような存在の女子学生。
(風紀委員J)『同じね、これは早めにT3
に報告しなければ・・。』

(Tレグ)『そろそろ僕の出番ですね。』

『あっ、Tレグさん、今皆さんに報告しようと。』

『今回はヘルパーTへの報告は要ありません。』

『えっ?だってあいつは。』
(Tレグ)『彼女は異物ではありませんか
ら。』
(風紀委員J)『えっ!?』
Tレグは不必要な免疫の攻撃を未然に防
ぎ、カラダを守るT細胞(制御性T細胞)。
なぜTレグは止めたのか?

『Tレグさん、排除しないと学園は大変なことに』

(Tレグ)『あれを見て下さい!』
(風紀委員)『あっ、この学園の初等部・
中等部を卒業した者だけが
持つキーホルダー!』
そう、彼女はフツーの生徒だったが、夏
休みを境に突然ギャル化してしまったの
だ。他の生徒に害を与える異物ではなく
免疫が攻撃してはいけない存在なのだ。
『私、間違った報告をあげちゃうところ
でした。ありがとうございます。』

『いえ、これが僕の役割ですから。では・・・ 。』

『Tレグ様、彼こそこの学園の最後の砦、ステキ!』
私たちのカラダの中では、ヘルパーTと
キラーTが異物を攻撃し、Tレグがその
攻撃を抑制するという体制で、健康が維
持されているのだ。これはTレグが間違
いなく自己だから大丈夫よっていう役割
をしています。Tレグが自己を見張って
いて、自己が来たらそれを見て、免疫応
答を起こさないように、樹状細胞Jに伝
える。Tレグ自体に非常に優れた感知能
があって、自己を見ることに特化してい
るのがTレグの役割。
ではドラマのおさらいをしておきましょ
う。一見、異物の様に見えるこのギャル
高校生なんですが、実は自己だったんで
す。だから樹状細胞JをTレグが止めなけ
れば、ヘルパーTがキラーTを行かせる
ところだったんですよ。このギャル高校
生は排除してはいけないとTレグは判断
したということです。
Tレグが何でわかったかと言うと、学園
出身であるというコトを示すバッジをち
ゃんと見ていたわけです。こうなってし
まう前の彼女の真面目だった頃の夏休み
前のことをちゃんと覚えているわけです
。
次に何でこの女子高生がギャル化しちゃ
ったのかと言うと、ストレスを受けると
か、紫外線を受けるとか、そういったコ
トによる変異です。ガン化してしまった
とかもその1つでしょうし、ウイルス感
染したというのもあるかもしれません。
もともとは自分の一部なんだけど、少し
ずつ遺伝子が変わって自分じゃない新し
いタンパク質を持つようになったとか、
そういう感じで変異してしまったのが
ギャル女子高校生。
制御役のTレグは人体学園出身の学園バ
ッジを見逃さなかったのです。
おしまい