田中角栄・『負け馬にこそ、情をかけてやる。ワカッタか!』

 

内閣総理大臣・田中角栄氏

     【続きです】

二期目の選挙で落選しちまったある若い
議員がいた。昨日まで『先生、先生!』
とおだてられていたのを一夜にして
『ただの人』だ。そりゃあ、惨めなもん
だぞ!議員会館の部屋もなくなり、東京
での活動拠点もねえ。だがな、次の選挙
で返り咲くには永田町に足場がなきゃ話
にならん。カネもねえ、事務所もねえ、
と頭を抱えとる。

昨日まで、『先生、先生!』とおだてられていたのを、落選したら一夜にして『ただの人』だ。そりゃあ、惨めなもんだぞ!

そいつにオレはな、派閥の重鎮の事務所
の一角を使えるように手配してやったん
だ。それだけじゃねえ。別の代議士の政
務担当秘書官と言う肩書を与えて、月々
の給料が出るようにしてやったんだ。落
ち目になった人間に手を差し伸べるヤツ
なんて少ねえ。だからこそ相手の心に深
く突き刺さる。

オレはな、派閥の重鎮の事務種の一角使えるようにしてやったんだ。それだけじゃねえ。肩書を与えて月々の給料が出るようにしてやったんだ。

その議員はな!三年後に見事選挙で復活
して、その後、大臣にまでなったが、生
涯オレの為に尽くしてくれた。これが
『敵を減らす』ということの本当のイミ
なんだ。ワカッタか!勝ち馬に乗るって
のは誰にだってできる。負け馬にこそ情
をかけてやる。それが将来、何倍もの力
になって返って来るんだよ。

その議員はな、三年後の選挙で見事復活して、その後、大臣にまでなった。

そいつはな、大臣になって、生涯オレの為に尽くしてくれた。

この考え方はな、何も政治家に限ったこ
とだけじゃねえ。オレが大蔵大臣だった
頃、予算編成で夜遅くまで残業しとる秘
書課の女性たちに『帰りにソバでも食っ
ていけ!』と言って、一人5千円ずつ渡し
たんだ。

夜遅くまで残業しとる秘書課の女性たちに『これでソバでも食って行け!』と、一人五千円ずつ渡したんだ。

彼女たちがオレに1票入れてくれるわけじ
ゃねえ。だがな、こういう一見無駄にみ
えるような気配りが周り周って、『田中
角栄はオレ達のことまで見てくれている
』と言う評判になり、大きな人望のうね
りになった行くんだ。

結局のところ、カネっていうのは道具に
すぎねえ。大事なのはそのカネにどれだ
けの『情』つまり人間としての心を乗せ
られるかどうかなんだ。
相手の心を先読みする鋭い観察眼、相手
に負担をかけない渡し方の技術、そして
、落ち目の人間や敵にさえ手を差し伸べ
る度量、この3つが揃って初めてカネは
人の心を根っこから揺さぶる本物の『生
きガネ』になる。

カネってのは道具にすぎねえ。大事なのはカネにどれだけの気配りを乗せられるかどうかなんだ!

おめえさん達も明日から誰かに何かを渡
す時、ただのモノとして渡すんじゃねえ
ぞ!そこに、おめえさんの心を目いっぱ
い乗せてみろ!そうすりゃあ人間関係っ
てのはな、面白れえほど、そして深く変
わって行くもんだ。ワカッタか。

以上、総理大臣・故田中角栄先生の有難
いお言葉でした。

       おしまい

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