歯科治療が未熟だった数百年前のヨーロッパでは、床屋さんが歯を抜いていました。
そして、咬めなくて、見た目も悪いもんだから、入れ歯師が金属でつくった入れ歯を上下に入れた。
でも、バネの力で支えていたので、装着しても不安定。
食事をするのはほとんどムリで、見た目だけの入れ歯でした。
すぐ落ちてくるのです。
歯がないというのは、ヨーロッパの貴婦人たちの大きな悩み。
どんなに着飾っても、歯がなくては扇を口元から離すことができません。
いろいろ問題があったにせよ、口元の美しさを回復できたのは、女性としてはウレシイの一言に尽きたのでしょう。
デモ、使いにくい。
見た目だけであまり実用的ではない入れ歯です。
いわば、お飾り。
そこで貴婦人たちは、宴会に出かける時は入れ歯をはずして自宅で食事をし、食事が終わると入れ歯をしてサロンでワインを飲み、おしゃべりに興じていたのデス。
そのため、「サロンの女性は空気を食べている」という、ちょっと皮肉な言い方もされていました。
そして、話の途中で休まないとまた入れ歯が落ちてくる。
今ワレワレが製作している入れ歯は、見た目もいいし、よく咬めるし、そしてよほどのことがない限り、簡単には落ちてきません。
だからといって安心してはいけません。
いくら入れ歯が進化したといっても、現役の歯にはかないませんから。
歯を残すような努力をしないとね。
ワタクシがもしその時代にタイムマシンでワープできたとしたら、歯ブラシと歯間ブラシを持って、徹底的にブラッシング指導すると思う。