映画『ポセイドン・アドベンチャー』を観て思った

ニューヨークからギリシャに向かってい
た豪華客船ポセイドン号。大晦日の夜、
パーティーで賑わうポセイドン号を海底
地震によって突然発生した大津波が襲っ
た。一瞬のうちに豪華客船は転覆。生き
延びた人々は生存を賭けて天地が逆転し
た船から脱出に挑むというストーリー。
『タイタニック』よりも随分前のパニッ
ク映画。

大晦日、パーティーを楽しんでいた

『転覆して上下逆さまになった船の中で
のサバイバル』。このアイデアを当時考
えた原作はスゴイと思った。そして、登
場人物は1400人もいた乗客が10人に絞
られる。最終的に救助されたのは6名。
主人公が死んでしまうっていう作品は何
度観てもつらいですね。

自分を犠牲にして他の人を助けようとす
る姿。スコット牧師がバブルのハンドル
から手を離して火の中に落ちて命を落と
すシーンに思わず、『えっ⁉』となってし
まった。脱出劇だけあって一難去ってま
た一難の展開に手に汗握るけど、まあ最
後には助かるんだよねと、どこか楽観視
していました。しかし安心感を吹き飛ば
すような展開。脱出メンバーが一人、ま
た一人と欠けていく展開。

昔、子供の頃テレビで観たことがあって
翌日はクラスの野郎達がこの話で持ち
切りでした。それくらい衝撃でした。救
助されると信じてそこに残るか、それと
もわずかな望みを信じて進むか、究極の
選択を迫られる。まあ、留まって死ぬよ
りは何かを選択して死んだ方がマシと、
突破口を自分達でこじ開ける展開。選択
を誤ったら即死。誰について行けばいい
か。地位の高い人についていくべきか?
それとも運のいい人についていく方を選
ぶか?ワタクシだったら運のイイ人につ
いて行くのですが・・・。

リーダーがハンドルから手を離し、火の中に落ちる

頼りがいのあるリーダーと、何かと反発
するサブリーダー。パニックになった集
団には必ず勇敢なリーダーがが現れる。
もちろん反目する人物が現れるのも鉄板
パターン。

リーダー(左)とサブリーダー(真ん中)

神にして対してリーダーがこう言う。
『あなたはどこまで我々を苦しめるのか
⁉あなたなどには頼らないので、その代
わり邪魔をしないでくれ!まだ足りない
のなら、私の命を奪え!神は頼るべき存
在ではない!』リーダーが命を落とし、
あとを任されたサブリーダーが孤立奮闘
する。

神、キリスト

映画の中に芥川龍之介の『蜘蛛の糸』を
参考にしたのかと言いたくなるような烏
合の衆のエピソートがあった。
助かるためにクリスマスツリーに登らな
かった人達の描写。でも、ツリーに登っ
た人達だけが助かった。これがなかなか
の地獄絵図と『蜘蛛の糸』のようだった。

芥川龍之介の『蜘蛛の糸』

これは迷路ゲーム。1400人が迷路に入り
みんな1回しか選択できない。行き止ま
りになったらおしまい。退場。そして
最後は10人にまで絞られ、リーダーも
脱落。残ったのは女、子供、老人など
6人だけ。そして迷路を抜け出した。

1400人中迷路から脱出できたのは6人

転覆した船底に救助隊がガスバーナーで穴を空け、たった6人だけ助かった。

これ何かと思ったら、戦争のことじゃな
いか。若者たちが戦死し、残されたのが
女・子供・老人だけ。社会の多くのギセ
イの上に今の社会がある。

ポセイドン・アドベンチャーは戦争の比喩か?

神に頼るのではなく、自分で考えた正し
いと思う道を切り開け、というテーマな
のかなあと思いました。

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