もうひとつの『源氏物語』(前半)

源頼光(兄)・源頼信(弟)の物語

平安時代に紫式部がつずった光源氏の
『源氏物語』ってのが有名なんですけど、
その同じ時代に、もうひとつの『源氏物
語』があるんですよ。こっちも藤原道長
の時代なんです。

時は平安、源頼光(らいこう・兄)、
源頼信(弟)という下級の軍事貴族の腹違
いの兄弟がいました。兄さんの方は鬼退
治・妖怪退治をしたらしいんです。
京の都を荒らす鬼・酒吞童子(しゅてん
どうし)が出ると言うんで、時の権力者・
藤原道長が源頼光に『鬼退治してこい!』
と命令し、鬼を退治した。そして冠位を
少しずつ上げていったんです。

頼光四天王(渡辺綱、坂田金時、…)の鬼退治

歴史家に言わせると、実際、鬼退治した
って記述はまるでなくて、どうやら源頼
光って人、プレゼント大作戦、賄賂大作
戦で、冠位を上げていった人らしい。
今じゃ、なに?この人!ってことになり
ますが、どうやら平安時のそういうの
がフツーの昇進のやり方だったらしいん
です。

実は手柄じゃなくて、賄賂で冠位を上げた

で、馬30頭を贈ったという記述がありま
す。当時の馬1頭と言ったら、今でいう、
高級車1台分。

こうして摂関家に赴くことで兄の頼光は
備前,美濃、但馬(たじま)、伊予、摂津
など畿内・西国を中心に豊かな国の受領
(まあ、今でいう知事みたいなもの)を歴
任しました。いわばスーパーエリート。
東大にいって官僚になるようなもの。

頼光は伊予・備前・但馬・摂津・美濃の受領

この頼光さん、最後は内裏を警護する内
裏守護に任じられ、その子孫が代々、そ
の職を家業として受け継いでいったんで
す。これが兄さん源頼光の『源氏物語』。

      【続く】

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