
超進学校の出木杉君とフツーの進学校ののび太
この話は普通の進学校の生徒が、超進学
校の生徒にたまたま触れる機会があり、
頭の中の考え方が180度変わったという
話です。男の子には2,3日で別の人間に
生まれ変わることがあるんですよ。何か
日常にないものに触れた時にね。ワタク
シも高校を卒業して予備校に入った時、
まったく同じような体験をしました。日
常では見ることのないであろう別世界を
見てしまったんですよ。現役だったら見
ることのなかったであろう風景を。まあ
似たような話です。では始めます。GO!

土御門進学塾
土御門(つちみかど)進学塾には時々、本
来なら交わらなかったハズの世界にいる
子が、同じ席に座る瞬間があります。の
び太は普通の進学校に通う高校2年生。
特別できるワケでもありませんが、成績
は上位をキープしています。一方、出木
杉君はいわゆる『超進学校』の生徒。周
囲には東大や医学部を当たり前のように
口にする仲間たちがいる。そんな世界で
育って来た。

超進学校
そんな二人が同じクラスになったのは、
高2の春。のび太が新学年最初の実力テ
ストで、たまたま過去最高の成績を採っ
たことがきっかけだった。そのたまたま
の結果が彼を別世界の入り口へと押し上
げてくれたんですよ。
(のび太)
『えっ?もう数Ⅲやってんの?』

『えっ?もう数Ⅲやってんの?』
(出木杉君)
『うん、マジでしんどいわ!
のび太はまだやってないの?』
数Ⅲなんて当然学校でやってないし、そ
れにまだ高2の夏だぞ!
(出木杉君)
『東大に行きたいんだ!だから早く
数Ⅲを仕上げたいんだ!』

『東大へ行きたいんだ。だから』早く数Ⅲを仕上げたいんだ!』
出木杉君との前提意識の違いに正直驚い
た。出木杉君にとって数Ⅲやるのも東大
目指すのも全部普通で当たり前のこと。

(のび太)
『でも何で東大に行きたいの?』
(出木杉君)
『オレ、アップル社の製品開発部に入り
たいんだよね。』
(のび太)
『そうなんだ。デカい夢!』
(出木杉君)
『えっ?フツーの夢じゃないの?』

こんなヤツがオレと同じクラスに、それ
も目の前にいることに驚いた。オレが考
えもしなかった選択肢を出木杉君はフツ
ーに持っている。衝撃的だった。

ボクの父は言ってた。『地元の国立大学
を出て、県の庁舎にでも務めることがで
きれば、将来安泰だぞ!』ボクの父は高
卒で地元の中小企業に勤めている。

『県庁はいいぞ!将来、食いっぱいぐれがないしな!』
自分は高卒で苦労したから、オレには世
間的な体裁もよく、安定した公務員がい
いと言う。少なくとも父はそう思ってい
る。ぜひ公務員になって欲しいと。

道庁(他県では県庁)

世間的にも体裁良く安定している公務員
オレの選択肢にはアップル社なんて1ミリ
もなかった。出木杉君の父親がマイクロ
ソフト社に勤めているなんてことは父に
は伏せておいた。やっぱり違うんだなあ
考え方が。

うちの親は『県庁はいいぞ!安定してい
るし、食いっぱぐれもないし。公務員な
ら結婚してもいろいろ安心だしな。その
うち県の議員にでもなれるんじゃねえか
?』と冗談めいて言うが、父の中ではそ
れが大きな夢だった。

ニューヨーク市にあるアップル社
でも、その『届きそうな高さの言葉』は
優しさでもあり、正しさでもある一方、
ワタシには『静かに世界を閉じる言葉』
に聞こえたんですよ。

父の言葉はワタシには『静かに世界を閉じる言葉』に聞こえた
【続く】