『生まれては苦界、死しては浄閑寺』

浅草にあった吉原遊郭

先日、衆議院解散総選挙で高市早苗氏率
いる自民党が、約3分の2の議席を獲得し
ました。現代は女性の総理大臣が誕生す
る時代です。

今ではそれが当たり前の風景ですが、明
治の前の江戸時代、女性の価値はたった
の3両(今でいう30万円)でした。コレ、
江戸後期に起きた天保の大飢饉で暴落し
た少女の『仕入れ値』です。

1833年、飢えに苦しむ東北の農家から、
親によって売られた娘たちが江戸に送ら
れました。仲介業者の女衒(ぜげん)によ
って縄で数珠つなぎにされた少女たち。
親が血判を押した証書には『転売の自由
』や『死亡時の免責』が明記されていま
した。彼女たちは人間ではなく、消費さ
れる『生鮮食品』として扱われていたん
ですよ。

飢えに苦しむ東北の農家から売られて来た娘たち。縄で数珠つなぎにされて『生鮮食品』として扱われていた。

行きついた先は2万坪の極彩色の檻。そ
の名も『吉原遊郭』。
周囲を『お歯黒どぶ』と呼ばれる黒い濁
った堀で囲まれたその場所で待っていた
のは、絶望的な搾取システム。

3万両で買われた少女たちは店に入った
瞬間、衣装や布団代として20両の借金を
背負わされる。価格は市場の数倍。働け
ば働くほど、利息で借金で雪だるま式に
膨れ上がり、完済などは不可能な仕組み
が完成していたんです。

衣装た布団代として20両の借金を背負わされる

肉体の消耗も悲惨を極める。当時美しさ
の象徴だった白粉には鉛が含まれており
、日常的な使用は、重度の鉛中毒を引き
起こしたんですよ。

白粉の中に鉛が含まれており、重度の鉛中毒を引き起こした

少し脱線しますが、鉛はヘモグロビン合
成を阻害するため、核のある赤血球(有
核赤血球)が出来ます。もともと赤血球
はそれが作られる骨髄から出てくるとき
に脱核します。核は必要としないのだ。

骨髄の中で生まれた赤血球は脱核して身軽になると、狭い毛細血管の中をカラダを折り曲げて酸素を抱き抱えて、脳の中などに運んで行く。

いや、邪魔なんです。核を持つと太って
いる赤血球は狭い毛細血管の中を通れま
せん。そうなると毛細血管の中を酸素を
抱えて運べませんしねえ。酸素を脳や臓
器に運べないからいろんな障害が起こっ
てくる。こうやって鉛中毒へと突き進む

赤血球は骨髄を出る時に脱核して、身軽になったところで毛細血管の中を通って酸素を運ぶので、有核赤血球のように核を中に入れていると毛細血管が詰まってしまい、いろんな障害が起こる。これが鉛中毒。鉛がヘモグロビン合成阻害することによって起こる。

さらに蔓延する梅毒への治療には猛毒の
水銀が使われていました。毒を持って毒
を制す荒治療により、多くの少女たちが
20代を迎えることなく骨までボロボロに
なって息絶えたんです。当時、吉原遊郭
の女性の平均寿命は22歳と言われていま
すが、こんな事情があったんですよ。

梅毒になると、あんどん部屋に入れられ、誰にも看取られずにそのまま亡くなった。

商品価値を失い、病に倒れた遊女に治療
という慈悲はありません。彼女たちは身
ぐるみ剝がされ、粗末なむしろにくるま
れて、夜陰に乗じて吉原遊郭の裏口から
運び出されました。行先は三ノ輪(みの
わ)にある浄閑寺。通称『投げ込み寺』。

この穴の中に身ぐるみ剝がされて、粗末なむしろにくるまれて、放り込まれた

放り込まれた寺は当時『投げ込み寺』とい言われた浄閑寺。

『生まれては苦界、死しては浄閑寺』。
その川柳にあるとおり、戒名も墓石もな
く、ただ土塊として穴の中に投げ込まれ
たんです。過去帳に残る数は25000体以
上、安政の大地震の際には、数千体の遺
体が一度にここへ積み上げられたと言い
ます。

安政の大地震で数千体の遺体が一度に投げ込み寺に積み上げられた。

世界に誇る江戸の浮世絵や歌舞伎、その
豪華な文化のパトロンになっていたのは
、この3両の命から搾り取られた莫大な
利益でした。

3代目大谷鬼次の江戸兵衛と初代市川男女蔵の奴一平。

現代の東京の片隅で名もなき25000人
の魂が今も静かに眠り続けているんです
よ。

       合掌。

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