②言葉の魔術『木綿のハンカチーフ』

      【続きです】

『木綿のハンカチーフ』。生まれて15回
目の夏、ワタクシが初めてノックアウト
された曲です。たった4分足らずの楽曲
が聴いている人を別世界へ招待してくれ
て、更に映画2時間分の物語が詰まって
いるんですよ。

『木綿のハンカチーフ』は遠距離恋愛の歌

作詞は松本隆。旅立つのは『ぼく』で、
地元に残るのは『私』。この両者のやり
取りで歌は始まる。コーラスごとに前半
は男性、後半は女性の気持ちを表してい
る。なので1番~4番まで4通ずつ、計8通
の手紙が交換されている。『モノと心、
どっちが大切?』ってのがテーマ。

『木綿のハンカチーフ』を歌う太田裕美

一番

一番。『ぼく』が都会に旅立って、新天地
での暮らしを始めるが、自分がいなくな
った代償として、『贈り物』を探そうとす
る。しかし『私』が望むのは昔みたいに
相手が『そば』に居てくれることだった。
このあと、実にキラー・ワードが飛び出
す。『都会の絵の具に染まらないで』と言
う表現。都会の流行に馴染み、あか抜け
ていく相手の様子は地元に残った彼女に
とって心の距離を拡げてしまう出来事。
それは望まない。

『都会の絵の具に染まらないでね。』

二番

二番は半年後のエピソード。都会の暮ら
しにも少し慣れて来た『ぼく』は行動半
径も広がり、相手への贈り物を見定める
。しかし『私』が欲しいのはモノではな
くて、あなたの『キス』なんだという、
はっきりした返事が届く。

『私はあなたに、ただそばに居て欲しいだけなの』

三番

三番はさらに時間が経過する。1~2年後
、いやもっとかもしれない。『ぼく』は
見間違うようなスーツ着た自分になって
いる。『スーツを着た、洗練されたボク
を見てくれ』と言っているくらいだから
自信もついたのだろう。たぶんワタクシ
もそうだったが、地元から都会にやって
来た時の『ボク』は長髪にジーンズとい
った感じだったと想像できる。立派な社
会人になったわけだ。

『スーツを着た、洗練されたボクの写真を見てくれ!』

しかしこの三番、『ぼく』の言い分は実に
辛口。地元にいる『私』に対して『口紅
もつけないままか?』などと、まるでそ
こは時間が止まった場所でもあるかのよ
うな言いぐさなのだ。

地元にいる私に対して『今も素顔で口紅をつけないままか?』と都会的価値観を押し付ける。

しかし『私』も負けてはいない。地元在
住の価値観で対抗する。『草に寝ころぶあ
なたの方が好きだった』と反論するのだ

彼女は『草に寝転ぶあなたの方が好き!』と反論する。

とはいえ、最後では『カラダに気をつけ
てね』と相手を気ずかう彼女だった。

     【またまた続く】

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