
ミトコンドリアは細胞の中に棲むコトになった
細胞の中にあるミトコンドリア、中学生
の理科の教科書には『ミトコンドリアは
真核生物の細胞内にある小器官でエネル
ギーを作ってくれます』とか何とか書い
てありますけど、実はこのミトコンドリ
ア、もともと別の生き物だったんです。

ミトコンドリアは酸素と糖を受け取って、エネルギーを作り出す発電所。その際、二酸化炭素を出す。
それが突然、ワレワレの祖先の細胞の
中に入って来ちゃったんですよ。そして
、細胞という宿主と取り引きしたんです
よ。『オレがオマエを守ってやるから、
代わりにオマエは得意のエネルギーを作
るという発電所の仕事を担当しろよ』っ
てね。

ミトコンドリアは元々、別の生物だったのが、ある日突然、ワレワレの祖先の細胞の中に入って来た。
なぜ私たちの祖先がミトコンドリアを細
胞の中に取り込むようになったのか。両
者の出会いは約20億年も前のある日、突
然でした。
二酸化炭素で覆われていたかつての地球
が20億年以上前に急激に酸素濃度が上昇
した。このぷよぷよしたのが私たちの祖
先の古細菌アーキアという生物。それが
この時期にミトコンドリアの祖先と細胞
内共生を始めたんです。

二酸化炭素で覆われていた地球が約20億年以上前に急激に酸素が増えた。
それが上手くいったのはミトコンドリア
の作ったATPにその理由があるんです。
ATPはアデノシン三リン酸の略称。全生
物の共通通貨。ATPって生命活動に必要
なエネルギー分子。

ATPは生命活動に必要なエネルギー分子
実は私たちの祖先、古細菌アーキアにと
っての酸素は猛毒。私たちの祖先の古細
菌アーキアは酸素が大嫌いなんですよ。
で、ミトコンドリアの祖先が酸素を使っ
て消費してくれるっていうじゃありませ
んか。

古細菌アーキアとっては酸素が猛毒。反対にミトコンドリアは酸素が大好物。
ミトコンドリアの祖先は酸素が大好きで
すからねえ。酸素を使った呼吸を行うと
、発酵の約20倍の効率でATPを作ること
が出来るので、私たちの祖先の細胞アー
キアは、このミトコンドリアを獲得する
ことによって、莫大なエネルギーを作る
ことができたんです。

ワレワレの先祖の古細菌アーキアは酸素が大嫌い。ミトコンドリアの祖先は酸素が大好き。ここに両者の取引きが成立した。
私たちのカラダの中でATPを作る方法は2
つあって、1つはもともと祖先から受け継
いだやり方で、細胞の中で当を分解する
過程で生み出す『解糖系』。この時は酸素
を使わない。もう一方は、ミトコンドリ
アが酸素を使う場合で、ATPの20倍くら
いの効率で、ATPを作り出す。

ミトコンドリアの祖先が、ワレワレの祖先の細胞の中に大量に入って来た苦手な酸素を消費してくれる。おまけに大量なATP分子を作って大量なエネルギーを供給してくれた。
私たちの祖先古細菌アーキアはミトコン
ドリアと一緒になることで、一気に莫大
なエネルギーを使えるようになったんで
す。つまり、私たちの祖先は猛毒だった
酸素から身を守りつつ、進化を加速する
力を手に入れたんです。ミトコンドリア
がが無ければ、真核生物の誕生はあり得
ませんでした。

ミトコンドリアがワレワレの祖先の細胞の中に入って来なければ、20億年後の人間みたいな真核生物の誕生はあり得ませんでした。
実はミトコンドリアの側にも事情があっ
たようです。ミトコンドリアの祖先の
アルファプロテオバクテリアは、古細菌
に取り込まれる前に、自分自身で生きる
為にすべてを行っていました。しかし、
古細菌の中に入ってしまえば、過酷なカ
ンキョウのサバイバル能力は必要なくな
る。

古細菌という家に棲むことになったミトコンドリアはウイルスに襲われることが無くなった。
今までミトコンドリアは、「食べ物を横
取りされた!」とか「ウイルスに襲われ
た!」とかで『安全な家が欲しい、誰か
私を守って!』と思っていた。そこで、
古細菌の中に寄生すれば、糖の調達など
はミトコンドリア自身がする必要がない
し、ミトコンドリアはエネルギーの生産
に専念できる。つまり、めでたくWIN・
WINの関係が成立したのだ。
【続く】