武士たちは別の世界を持ちたいんですよ。蔦重と山東京伝の場合。

家康のつくった江戸の平和

家康がつくった江戸時代は平和でした。
でもね、江戸には当時ヨーロッパにあっ
た宮廷はなかったし、サロンもなかった
。文化人がいろんな所に集まって、そこ
では会話が中心だから、気のきたことを
言えたり、みんなを笑わせたり、驚かせ
たりするような人がだんだん、こう世の
中で頭角を現すんですよ。

江戸のベストセラー作家・山東京伝。気の利いたことを言ったり、笑わせたり、驚かせたりした。

だけど、そういう文化が江戸には、それ
も幕府内にはなかったんでしょうね。そ
れを発散する場所として武士たちは吉原
に行き、蔦屋重三郎みたいな連中と階級
を越えて付き合っちゃう。黄表紙とかだ
と、まあ1000円以下、500円くらいで買
えちゃう。

そんなのを読みたいから、識字率がバン
バン上がった。面白いものに飢えている
ところに、面白いのが来て、無風状態の
規制しない幕府がコレ、やばいなと気ず
き、娯楽を禁止し始めたってところです
かね。

当時、ロンドンの識字率20%、江戸60%

まあ、『ゲゲゲの鬼太郎』の水木しげる
さんも昭和の時代に目を付けられてしま
った。あと手塚治虫さんもそう。マンガ
が悪書だとやられているんですよ。こん
なものはイケナイってね。ただそういう
抑圧があればある程、創作家たちはもっ
といいもの描こうと思うけどね。

水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』は政府に目を付けられた。

手塚治虫のマンガ『火の鳥』こんなの悪書だからイケナイって。

蔦屋重三郎(蔦重)と山東京伝もそうでし
た。こんな質素倹約の時代に庶民を楽し
ませる本が出せるのだろうか?蔦重が戯
作者の山東京伝に相談したら、

『遊郭で暮らす遊女たちのリアル生活を
描く小説を出すってのはどう?これまで
華やかな非日常世界として、遊郭は描か
れて来ました。でも遊女の視点に立てば
、そこは抜け出そうにも抜け出せない苦
界。そんな遊郭の現実を描く物語なら禁
令に触れることはない。』

山東京伝の『錦之裏』は遊郭で暮らす遊女のリアル生活を描いたのだが、こんなのイカンということで捕まって手鎖50日。

で、山東京伝が『錦之裏』を発売した途
端、蔦重は奉行所に摘発され、本は絶版
を命じられた。遊郭を舞台にした小説を
出版したこと自体が禁令違反だって。こ
の摘発は役人側の業界への見せしめの狙
いがあったみたいで、そこで恰好のター
ゲットは今、ブイブイ言わせている版元
の蔦重と作者の山東京伝で、京伝は手鎖
50日、蔦重は財産の半分を没収されたん
ですよ。

山東京伝の黄表紙

武士たちは別の世界を持ちたかったので
すが、お侍さん達が商人化したら、江戸
幕府の作った封建制度が音をたてて崩れ
ます。そりゃあ、江戸幕府は終わりを告
げますワ。いかん!イカン!

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