もう、40年も50年も前の話ですが、
ワタクシの高校の同級生に岩井君という
のがいて、いつも席でブツブツつぶやき
ながら、本を読んでいました。何年かし
て、岩井君どうしてるんだっていう話に
なって、どうやら彼は京都で占い師をや
っているとのことでした。いわゆる民間
の陰陽師です。『あいつ、就職しないでス
ゲーこと考えてたんだな!スゲー奴だっ
たんだんだな。よりによって陰陽師の盛
んだった都の京都かよ!?』
ワタクシには到底マネ出来ない。
陰陽師と言えば、平安時代・中期の安倍
晴明(あべのせいめい)が有名です。この
人、最初からスゴカッタわけではありま
せん。最初の頃は朝廷の機関『陰陽寮』
で国家公務員として働いていました。
まあ、いわゆるサラリーマンです。
天体を観測して、吉凶を占うような仕事
、儀式を行う日とか、政治を行う日とか
を決めていた。当時は祟りだけじゃなく
て、自然災害や異常気象・疫病の流行や
日常の病でさえ、怨霊や鬼のせいではな
いかと疑われてて、その災いを数々の秘
技で祓うコトを期待されたのが陰陽師。
平安時代は災害や疫病などが発生して、
支配者の貴族たちも、どうしていいのか
わからず自信を失って、それもあってか
、陰陽師は身近な存在になった。かくし
て陰陽師たちが平安京の不安解消を請け
負っていました。
陰陽師は国家的にいろんな役割を持って
いて、例えば科学者であったり、占い師
であったり、医者であったり、まあ色ん
な職業が未分化だった時代にその全部を
請け負っていました。
今はウイルスがカラダの中に入って病気
になるってのわかっていますけど、昔は
悪い神や鬼がついたので、病気になった
っていうのが当時の科学。だからその悪
い神を祓ったら病気が治るという。
僧もいたと思いますが、仏教は基本的に
国家を守るためのシステムとして日本へ
入って来たもの。そういう時代に庶民の
素朴な欲望とか不安を担うのは陰陽師の
仕事だった。いわゆる『何でも屋さん』
だったんですよ。
『続く』