ワタクシがビートルズを深く知ったのは
高校生の多感な時期。まるで放射線を浴
びたようにように、ワタクシのカラダの
中に許可なく侵入して来た。それまでは
退屈な音楽を聴いていました。
そんなビートルズですが、ソ連の若者た
ちの中にも侵入して来たんです。そして
その事がソ連という鉄のカーテンを壊す
のに一役買ったんです。以下は西側諸国
が自由にビートルズが聴けるのに、ソ連
の若者たちは聴く自由を持てなかった話
です。
ビートルズは1966年のアメリカン
ツアーを最後にステージに立たなくなっ
ていました。やがて4人はヒゲをはやし、
アイドルであることを辞めた。
その音楽は鉄のカーテンの向こう側にも
届いていた。西側のロックが禁止されて
いたソ連で、若者たちは身の危険を冒し
ながら、ビートルズを聴いていた。
長髪の若者は見つかると、容赦なく丸刈
りにされた。それでも若者たちはビート
ルズを聞き続けた。まるで隠れキリシタ
ンのように。
当時のソ連はビートルズをはじめ、ロッ
クが禁じられていました。西側の自由な
思想が広がるのを恐れたから。自由に聴
くことができたのは、国の審査をパスし
た退屈な音楽だけ。国は乏しい情報を目
一杯使って、ビートルズブームをこき下
ろそうとしました。でも、こうしたプロ
パガンダが返って若者をビートルズに引
き付ける事になったんです。
ソ連の若者の言葉。『ビートルズの音楽
はこの世のものとは思えないほど素晴ら
しかった。喜びで心が一杯になってどう
したらいいのか、わからなくなった。
何年も積み重なった憂鬱や恐怖が一瞬で
消え去った。ビートルズはボクらの世界
を創る手助けをしてくれたんだ。
表向きは共産主義の国家の要求に従って
暮らしていながらも、ボクらはビートル
ズを信じることで、その一部を静かに拒
否していたんだ。』
(続く)