ペスト医師の防御服

1656年に描かれたローマのペスト医師

 

ヨーロッパでは、17世紀、ペストの
大流行。

ペストはかつて、世界で最も恐れられて
いた病気。

ヨーロッパの人口の1/3が亡くなったん
ですから。

両手を広げて左右横の人と手をつないだ
ら、その中の一人が死亡する感じ。

犠牲者はリンパ節が腫れ上がり、ヒフが
黒ずむなど、悲惨な症状に苦しめられま
した。

富める者も貧しい者も分け隔てなくかか
った。

で、公平に治療が施されるように、ペス
トに襲われた町では専門の「ペスト医師
」を雇うようになった。

そんな中、クチバシ付きマスクを着用す
る専門医が現れた。

その他香料入りのワックスを塗ったコー
ト、ブーツとつながる丈が短めのズボン
にヤギ革製の帽子や手袋なんかもして。

ペスト医師は直接接触を避けるため、
患者を触るための杖も持っていた。

中でもマスクはとりわけ異様。

ペスト医師はゴーグルとマスクを着用。
マスクの鼻は長さ15センチのクチバシ
形、中に香料を入れていた。

穴は鼻孔近くに2か所。
クチバシに仕込んだハーブの香りを、
吸い込む空気と混ぜた。

以来この格好は不吉なイメージを帯びる
ようになった。

今思えば、ペスト医師の防御服や治療法
はほとんど効果がありませんでした。

やはり科学的な予防法が確立されるのは、
病気の細菌説と抗生物質が登場してから
です。

そういえばイタリアの演劇でも時々、仮
面を身に着けたクチバシの人が出てきた。

何だコレ?と思っていたけど、アレ、
ペスト医師だったんだ!

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