洛中京都人の常識(後)

梅にウグイス

(前日からの続きです)

勘違いもあれば、場違いもアル。
京都の老舗には『場違いの部屋』と言う
のがあって、その部屋で待ってても
待てど暮らせど誰も来ません。
客を追い返すための『場違いの部屋』。

例えば襖絵で言うと
『梅にウグイス』が正解。
『桜にウグイス』という何百万円もする
襖絵の部屋があるんですが、
何も知らないと客は立派な部屋通された
と勘違いする。

しかし、その
『場違いの部屋』に通されたら、
1時間たっても、2時間たっても
老舗の主人どころか誰も出てきません。

『(遅せーな)スミマセ~ン。
誰かいませんか?まだですか?』

『場違いの部屋』に通されたのは
『場違いの客』という意味。
『梅にウグイス』はあるけれど
『桜にウグイス』はないのです。

まだまだあります。

『お子さん、お元気でよろしおすなあ』
➡『あんたんとこの子供、うるさくて
  迷惑じゃ!』

『よろしいなあ』
➡『どうでもよろしい』

『いい時計してまんなあ』
➡『あんた、時計見なさい。
 もうこんな時刻じゃ。早う帰れ!』

『どないしはったん?』
➡『あんた、本気?』

あ~、怖い。今はもう少ないかも
しれませんが、ワタクシが洛中に
住んでいた頃は確かにありました。

それにしても京都人は
自分達の価値を上げるのが
上手いなあ、と思う。

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