昔、小さい頃、何で「美術」って必要な
んだろう、「音楽」って何で習うんだろ
うと思っていました。
算数や国語は生きていくために必要なの
は何となくわかる。
でも美術って、何で必要なんだろう。
それが最近何となくわかってきた。
「キレイだ」と思うことも大事だって
コト。
実は、ネアンデルタール人っていうのは
お肉、つまり「実なもの」が好きでした。
でも「実」だけ好きな者は結局、滅びま
した。
ワタクシたちホモサピエンスは、5万年
くらい前から明らかに「美」が好きで、
ビーズをものすごくたくさん作っていた
といいます。
こんな厳しいカンキョウの中でビーズを
たくさん作っても、何の役にも立たない
んじゃないか、そんなん、死んじゃうだ
ろうと思うものですが、ところが実際は
違った。
お肉が好きなネアンデルタール人の方が
先に滅んで、ビーズが好きなホモサピエ
ンスの方が生き残って、月まで行っちゃ
った。
これは何かというと、おそらく、ビーズ
に代表されるようなものを好む人間が、
生き残るために頭の中でいろいろ思いつ
き、まわりにまわって神とか国とかお金
とか他の動物たちが持ってないものを頭
の中で考え始めた。
そして作っちゃった。
キレイだとか不思議だとか、何かと交換
できるトカ。
これを持ったら強い。
集団の生き物ですから、これがアッとい
う間に地球上を支配したのだと考えると
、ネアンデルタール人のように「実」だ
けが大好きというんじゃなくて、「実の
ないもの」「ウソのもの」も必要なワケ
です。
教会や劇場があんなに立派な建物なのは
、「その中にいる神様や、お芝居はウソ
じゃないんですよ。信じて下さい。いる
んですよ。たとえいなくても必要なんで
すよ」と思わせているのだ。