トウキョウトガリネズミの「大きいのにとって小さいのは存在しない」話

トウキョウトガリネズミ

 

トウキョウトガリネズミってネズミが
います。

とっても小さい。

サイズは、1円玉くらい。
体重は2グラム。

ホ乳類ということは、あのサイズの中
にちゃんと胃とか腸とか収まっている
のだろうか。

血管も細すぎて詰まったりしないのだろ
うか。

と、余計な心配をしてしまう。

専門家で、幻のトウキョウトガリネズミ
を発見した北大農学部の先生がいて、
最初にこの動物を見た時、「虫がいる」
と思った。

それほど小さい。

トウキョウトガリネズミって、「エゾエ
ンシス」って学名なんです。

それを汚い筆記体で書いて「エドエンシ
ス」って。

完全な写しマチガイ。

エドは江戸で、東京だから「トウキョウ
トガリネズミ」。

学術名はいったんついたら、簡単には
変わらない。

エゾは北海道。
東京出身じゃないんです。

ムカワ出身。
ムカワは北海道。

で、本当はネズミではなくて、モグラの
一種。

だから「トウキョウトガリネズミ」じゃ
なくて、ホントは「ホッカイドウトガリ
モグラ」。

まぁ、そういうのはどうでもいい。

大きいヤツほど数が多くて、小さいほど
数が少ない。

小さい方は住む場所が限られている。

その二種類を一緒に飼っている人が言っ
てたのですが、「小さい方のトガリネズ
ミにとって、大きい方の種類が存在して
いる。でも大きい方の種類にとっては、
小さい方の種類は存在しないんです。
なぜかというと、小さい方は敏感で、
大きい方がそばへ来ると逃げちゃう。
そうすると、大きい方は自分より小さい
仲間が世の中に住んでいるとは夢にも
思わない。」

「大きいのにとっては小さいのは存在し
ない。小さいのにとっては大きいのは
存在している」と、何かそんな風に考え
ていくと、なんとなく人間に重なってし
まう。

どこに行ってもぶつかるから、この辺に
落ち着いた。

そういえば最近アイツ見ないなぁ、と
思うのは大体大きい方。

小さい方は目立たないようにひっそり
暮らしているんです。
ちゃんと、大きい方を避けながら。

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