主語になれなかった人々。

ハプスブルク家の人々解剖に詳しい人が言ってた話です。

オーストリアの王家ハプスブルク家の人の埋葬方法は、死体から心臓だけを取り出して、わざわざ銀製のケースに入れられて教会に収めるというものでした。

おそらく当時あった心臓信仰、まぁ、心臓に魂が宿っているという考え方です。

で、歴史書には、誰が解剖したかは書いてありません。

主語がなくて、「かくかくしかじかの方法で埋葬された」と書いてあるだけです。

主語がないというのは、ちょっと不自然。

でもそういう時の主語は、「It」。

「It rains」(雨が降る)とか。

このItは何を指しているかというと、「自然」。

人間の外にある存在、まぁ「世間の人」ではなかった。

韓ドラでいう「賤民」。

日本なら江戸時代のエタ、非人です。

彼らは歴史的に大きなことをしても、主語にはなれなかったのです。

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