下顎呼吸ってのがあります。亡くなる直
前に見られる呼吸なんですが、『何か、
おじいちゃん、言いたがってるよ。』
『きっと、こういうことを言いたかった
に違いない。』と亡くなったあと、看取
った人達は皆、ああだ、こうだと言いま
す。でも、この現象を穏やかな状態だと
言う専門家もいるんですよ。
脳内麻薬と呼ばれる物質があって、コレ
自分たちにストレスがかかった時、エン
ドロフィンが出ることが分かっているん
です。
まあ、マラソンで長く走り続けていると
、酸素が不足気味になって、気分が高ま
って来る『ランナーズハイ』もエンドロ
フィンが出てくるからと言われますが、
そのエンドロフィン。
最期の時は下顎呼吸になりますけど、そ
の時には呼吸と言ってもほとんど機能し
てない呼吸なので、その時には血液中の
酸素濃度はほとんど落ちて、脳内麻薬の
エンドロフィンが大量にドバァーと出て
来るので、穏やかな気持ちでいられるん
じゃないかと。
かくして、下顎呼吸は無呼吸になりまし
て、パクパクと、はあ・・と言って亡く
なるんですよ。『あの時、おじいちゃん
は何を言い残したかったんだろう?』と
残された人達は胸に手をあてて考える。
吐いて終わりじゃなくて、吸って終わり
と仏教でよく言われます。
『吐いて生まれて、吸って終わる』『息
を引き取る』って言葉がありますが、
まさにその通り。
ワタクシも人が亡くなる直前にはエンド
ロフィンが大量にドバァーと出るのを知
らなかったので、父ちゃんが亡くなる時
苦しそうで可哀そうだなと思っていまし
た。
看取る側が『苦しく亡くなったんだ。』
と思うんじゃなくて、この話を知ってい
れば『父ちゃんは皆が来てくれて幸せだ
ったんだ。行ってらっしゃい。あとは何
も心配せずにオレに任せてくれよ。』と
送り出したに違いありせん。